2012年 12月 11日
すばらしいとき―絵本との出会い |
灰島かりさんの『絵本翻訳教室へようこそ』を読んでいたら、渡辺茂男さんがマックロスキーの『Time of Wonder』を訳したときのエピソードが紹介されていて面白そうだったので読んでみました。
前から絵本を読んでいて「この本いいな」「この訳いいな」と思うと訳者が渡辺茂男さんだったので気になっていたのですが、まさか1920年代生まれとは思いませんでした。もっとずっと若い方だと思っていました。だって、あんなに子どもの心そのままに訳せているんですもの。
でも、そんなことばかりじゃなく、絵本の中にはもっとファンタジー色が強いものもあり、ドキュメンタリー的な『Time of Wonder』と違って、こちらは現地に行く必要はないけれど、しっかりと絵を読み解いて、その中に描かれている作者の気持ち、願いを正確にすくいとらなくてはならないということを、後半のセンダック論で教えてくれます。
うーむ、どちらもかなり大変です。絵本の翻訳に関して訳者の方々が書いたものを見ると、判で押したように、英語がやさしいからラクだろうと絵本の翻訳を目指す人たちがいるが大間違い、という趣旨のことが書かれていて、そうだろうなあと改めて認識しました。
ただ楽しみのために読んでいた私は、ここで分析されているような細かく深いところまではまったく目が届かず、単純にユニークか、面白いか、言葉がなめらかか、絵が可愛いか、といったことで判断してしまっていました。子どもは絵本を繰り返し何度も何度も見るものだということ、文章は大人が読んでくれるものを耳から聞き、子どもは絵だけ見ているのだということを忘れていました。
センダックは『かいじゅうたちのいるところ』の絵が好みではないからと、これまで積極的に読んではいなかったのですが、この本で書かれていた分析を参考にしながら挑戦してみたら、画風も本に合わせていろいろで本当に素晴らしかった。特にイタリア・ルネッサンス風の絵で描いた『そとは すぐそこ』なんて、子どもだけに読ませるには惜しい内容です。
すばらしいとき―絵本との出会い
作者:渡辺茂男
出版社:大和書房
ISBN:4479750045
前から絵本を読んでいて「この本いいな」「この訳いいな」と思うと訳者が渡辺茂男さんだったので気になっていたのですが、まさか1920年代生まれとは思いませんでした。もっとずっと若い方だと思っていました。だって、あんなに子どもの心そのままに訳せているんですもの。
『もりのなか』との出会い――まえがきにかえてきっかけになった『Time of Wonder』と訳書の『すばらしいとき』も読みましたが、確かにこれはアメリカの現地に行ってマックロスキー夫妻、ふたりの娘さんたちに会い、スコット島の自然のすばらしさを実際に目にしないと書けない訳だなと思いますが、でも、だったら訳者はいつでも背景となった場所に取材に行かなきゃならないのかということになります。
1『どうすればいいのかな』――子どもの本の翻訳――日本語と英語のはざまで
2メインのある朝――ロバート・マックロスキー訪問記
3センダックの幼児体験
1意識と無意識
2幼ものがたり
3『かいじゅうたちのいるところ』
4『夜のだいどころで』
5『そとは すぐそこ』
4センダックの芸術と衝撃――『センダックの世界』を訳して
でも、そんなことばかりじゃなく、絵本の中にはもっとファンタジー色が強いものもあり、ドキュメンタリー的な『Time of Wonder』と違って、こちらは現地に行く必要はないけれど、しっかりと絵を読み解いて、その中に描かれている作者の気持ち、願いを正確にすくいとらなくてはならないということを、後半のセンダック論で教えてくれます。
うーむ、どちらもかなり大変です。絵本の翻訳に関して訳者の方々が書いたものを見ると、判で押したように、英語がやさしいからラクだろうと絵本の翻訳を目指す人たちがいるが大間違い、という趣旨のことが書かれていて、そうだろうなあと改めて認識しました。
ただ楽しみのために読んでいた私は、ここで分析されているような細かく深いところまではまったく目が届かず、単純にユニークか、面白いか、言葉がなめらかか、絵が可愛いか、といったことで判断してしまっていました。子どもは絵本を繰り返し何度も何度も見るものだということ、文章は大人が読んでくれるものを耳から聞き、子どもは絵だけ見ているのだということを忘れていました。
センダックは『かいじゅうたちのいるところ』の絵が好みではないからと、これまで積極的に読んではいなかったのですが、この本で書かれていた分析を参考にしながら挑戦してみたら、画風も本に合わせていろいろで本当に素晴らしかった。特にイタリア・ルネッサンス風の絵で描いた『そとは すぐそこ』なんて、子どもだけに読ませるには惜しい内容です。
すばらしいとき―絵本との出会い
作者:渡辺茂男
出版社:大和書房
ISBN:4479750045
by timeturner
| 2012-12-11 20:54
| 和書
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