2012年 10月 30日
危険なメソッド |
20世紀初頭、ヴィクトリア朝のスイスの病院にロシア系ユダヤ人の若い女性患者ザビーナ・シュピールラインが極度のヒステリー症状で運びこまれてきた。担当の医師となった若き精神科医ユングは、精神分析学の大家フロイトが提唱する“談話療法”をザビーナに実践し、彼女の心の奥底に眠る性的トラウマを突き止めて治療に成功する。だが、二人はいつしか医者と患者の一線を越え、また、一度は父と息子のような絆をつないだフロイトとも考え方の近いから溝ができていく・・・。
クローネンバーグとは思えないくらい普通の作品でした。彼の映画には必ずある「いたたまれない気持ち」にさせるようなシーンもなく、なんだか拍子抜けです。そういうシーンがクローネンバーグの個性であり、映画的にすぐれた部分であるはずなのですが。
ヴィゴが出演したクローネンバーグ作品は3作目にあたりますが、あとになるほど映画芸術としては凡庸になっていってるような気がするなあ。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」はまるで好きになれない作品でしたが、映画としては素晴らしいと思った。次の「」はかなり見やすくなっていたし、クローネンバーグならではの非常に映画的で素晴らしいビジュアルもあったものの、わりあい普通の娯楽映画になっていた。で、今度のは娯楽作でもないし問題作でもないという、なんだか中途半端な印象を受けました。
見ているあいだはそれなりに引きつけられ、決して退屈はしなかったのですがなんだか単調だった。撮影も編集もいつものチームだからそのせいだとも思えず、脚本でしょうかね。もともと舞台劇だったそうで、なるほど映画の中でもかなり舞台的なシーンがかなり多かった。そっちに引っ張られてしまって、映画的な部分が薄まってしまったのかな。
キャスティングの問題もあるのかも。主要メンバーはみんなそれなりにがんばっていたけれど、なんだか合っていない気がした。キーラとマイケル・ファスベンダーの間にまるで引力が感じられない。官能的な雰囲気もない。本来だったら観客に居心地の悪い思いをさせるはずのスパンキング・シーンも「あら、叩いてる」程度の感慨しかわかない。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」でのマリア・ヴェロのチアガール姿のほうがよっぽど居心地が悪かったぞ。
ユングの妻を演じたサラ・ガドンと破滅型の患者役ヴァンサン・カッセルだけが、まるで本人を演じているようにはまってました。
だけど、ひょっとしたら私が事前にザビーナ・シュピールライン関連の本を2冊も読んでしまっていたからかも。あの歴史的事実を知らずにこの映画を見たら、それなりに驚いたりショックを受けたりして映画的興奮を得られたのかな。
公式サイトはこちら。
原題:A Dangerous Method(2011)
上映時間:99 分
製作国:イギリス/ドイツ/カナダ/スイス
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:キーラ・ナイトレイ、ヴィゴ・モーテンセン、マイケル・ファスベンダー、サラ・ガドン、ヴァンサン・カッセルほか。
クローネンバーグとは思えないくらい普通の作品でした。彼の映画には必ずある「いたたまれない気持ち」にさせるようなシーンもなく、なんだか拍子抜けです。そういうシーンがクローネンバーグの個性であり、映画的にすぐれた部分であるはずなのですが。
ヴィゴが出演したクローネンバーグ作品は3作目にあたりますが、あとになるほど映画芸術としては凡庸になっていってるような気がするなあ。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」はまるで好きになれない作品でしたが、映画としては素晴らしいと思った。次の「」はかなり見やすくなっていたし、クローネンバーグならではの非常に映画的で素晴らしいビジュアルもあったものの、わりあい普通の娯楽映画になっていた。で、今度のは娯楽作でもないし問題作でもないという、なんだか中途半端な印象を受けました。
見ているあいだはそれなりに引きつけられ、決して退屈はしなかったのですがなんだか単調だった。撮影も編集もいつものチームだからそのせいだとも思えず、脚本でしょうかね。もともと舞台劇だったそうで、なるほど映画の中でもかなり舞台的なシーンがかなり多かった。そっちに引っ張られてしまって、映画的な部分が薄まってしまったのかな。
キャスティングの問題もあるのかも。主要メンバーはみんなそれなりにがんばっていたけれど、なんだか合っていない気がした。キーラとマイケル・ファスベンダーの間にまるで引力が感じられない。官能的な雰囲気もない。本来だったら観客に居心地の悪い思いをさせるはずのスパンキング・シーンも「あら、叩いてる」程度の感慨しかわかない。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」でのマリア・ヴェロのチアガール姿のほうがよっぽど居心地が悪かったぞ。
ユングの妻を演じたサラ・ガドンと破滅型の患者役ヴァンサン・カッセルだけが、まるで本人を演じているようにはまってました。
だけど、ひょっとしたら私が事前にザビーナ・シュピールライン関連の本を2冊も読んでしまっていたからかも。あの歴史的事実を知らずにこの映画を見たら、それなりに驚いたりショックを受けたりして映画的興奮を得られたのかな。
公式サイトはこちら。
原題:A Dangerous Method(2011)
上映時間:99 分
製作国:イギリス/ドイツ/カナダ/スイス
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:キーラ・ナイトレイ、ヴィゴ・モーテンセン、マイケル・ファスベンダー、サラ・ガドン、ヴァンサン・カッセルほか。
by timeturner
| 2012-10-30 22:28
| 映画
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