2012年 10月 18日
海にはワニがいる |
エナヤットの家族は、アフガニスタンの少数民族ハザラ人(シーア派)が住む小さな村で暮らしていたが、タリバーンが政権につくと激しい迫害の標的となった。父は奴隷のようにこきつかわれて死に、ハザラ人の学校も閉鎖された。10歳になったエナヤットがタリバーンに目をつけられることを心配した母は彼を隣国パキスタンへと連れだし、そして置き去りにした・・・。
いやあもう、すごいとしか言いようのない半生です。たった10歳で言葉もわからない土地にひとりぼっち。食べるものも寝るところも自分でなんとかしなくてはならない。そんな状況に投げ込まれて、人間としての尊厳を保ったまま自力で生きていこうとするエナヤット少年の勇気と行動力にはただただ驚くばかり。
もちろん、都合のいいように話を変えてある部分もあるだろうと思いますが、それでも5年の歳月をかけてパキスタンからイラン、トルコ、ギリシャと決死の密入国を繰り返し、最終的にはイタリアで政治難民としての滞在許可証を手に入れて学校に通い、それまでの遅れを取り戻せたわけですから、やはり只者ではないのでしょう。
それにしてもエナヤット少年がこれだけの苦労をしてひたすら求めてきたものが、勉強し、働き、自分の家で安心して眠る、たったこれだけのためだったということに愕然とします。そんな基本的な人権すらが認められていない国が今でも数えられないほどあるのですよね。
海にはワニがいる
原題:Nel Mare Ci Sono I Coccodrilli
作者:ファビオ・ジェーダ
訳者:飯田亮介
出版社:早川書房
ISBN:4152092378
いやあもう、すごいとしか言いようのない半生です。たった10歳で言葉もわからない土地にひとりぼっち。食べるものも寝るところも自分でなんとかしなくてはならない。そんな状況に投げ込まれて、人間としての尊厳を保ったまま自力で生きていこうとするエナヤット少年の勇気と行動力にはただただ驚くばかり。
もちろん、都合のいいように話を変えてある部分もあるだろうと思いますが、それでも5年の歳月をかけてパキスタンからイラン、トルコ、ギリシャと決死の密入国を繰り返し、最終的にはイタリアで政治難民としての滞在許可証を手に入れて学校に通い、それまでの遅れを取り戻せたわけですから、やはり只者ではないのでしょう。
それにしてもエナヤット少年がこれだけの苦労をしてひたすら求めてきたものが、勉強し、働き、自分の家で安心して眠る、たったこれだけのためだったということに愕然とします。そんな基本的な人権すらが認められていない国が今でも数えられないほどあるのですよね。
海にはワニがいる
原題:Nel Mare Ci Sono I Coccodrilli
作者:ファビオ・ジェーダ
訳者:飯田亮介
出版社:早川書房
ISBN:4152092378
by timeturner
| 2012-10-18 20:02
| 和書
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