2012年 08月 16日
魔女ジェニファとわたし |
ニューヨーク郊外の町に引っ越してきたエリザベスは、転校先の小学校でまだひとりも友達がいなかった。同じアパートの上階に住むシンシアと仲良くするように母親は勧めるが、大人の前ではいい子ぶって陰で意地悪なシンシアを好きになれない。ハロウィーンの日、仮装して学校に向かったエリザベスは本格的な仮装をした黒人の少女ジェニファと出会った。自分は魔女だと言うジェニファに誘われ、エリザベスは魔女見習いの修行をすることになったのだが・・・。
『クローディアの秘密』でもそうでしたが、この作者の書く少女たちはとてもリアルです。タイトルに「魔女」がついているので少しファンタジー寄りなのかなと思ったし、実際に魔法のことがたくさん書かれてはいるのですが、最終的にはやっぱり現実的。
とはいっても、孤独な少女が同じような問題を抱える友人との交流のなかで、アイデンティティをみつけていくというような、ありがちな話でもありませんでした。
ジェニファは頭がよく知的好奇心も人一倍だけれど、頭がよすぎて他人と素直にまじわれず、結果として孤高を保っています。エリザベスにも友人がいないけれど、それは物事を冷静に客観的に見ることができるため、状況に流されて好きでもない子とつるんだりしないから。
そんなふたりが一緒の時間を過ごすうちに、少しずつ相手を理解していく様子がとても興味深い。実際にここまで洞察力の鋭い子、冷静で客観的な子がいるのかね、と思ってしまうこともありますが、でも、きっといるんだろうなあ。ジェニファがエリザベスに『マクベス』の話をするところなんて、あまりにも深い読みに自分が情けなくて落ち込みました。(いや、それは作者の読みだから・・・)
魔女ジェニファとわたし
原題:Jennifer, Hecate, Macbeth, William Mckinley, and Me, Elizabeth
作者:E.L. カニグズバーグ
訳者:松永ふみ子
出版社:岩波書店
ISBN:4001140845
『クローディアの秘密』でもそうでしたが、この作者の書く少女たちはとてもリアルです。タイトルに「魔女」がついているので少しファンタジー寄りなのかなと思ったし、実際に魔法のことがたくさん書かれてはいるのですが、最終的にはやっぱり現実的。
とはいっても、孤独な少女が同じような問題を抱える友人との交流のなかで、アイデンティティをみつけていくというような、ありがちな話でもありませんでした。
ジェニファは頭がよく知的好奇心も人一倍だけれど、頭がよすぎて他人と素直にまじわれず、結果として孤高を保っています。エリザベスにも友人がいないけれど、それは物事を冷静に客観的に見ることができるため、状況に流されて好きでもない子とつるんだりしないから。
そんなふたりが一緒の時間を過ごすうちに、少しずつ相手を理解していく様子がとても興味深い。実際にここまで洞察力の鋭い子、冷静で客観的な子がいるのかね、と思ってしまうこともありますが、でも、きっといるんだろうなあ。ジェニファがエリザベスに『マクベス』の話をするところなんて、あまりにも深い読みに自分が情けなくて落ち込みました。(いや、それは作者の読みだから・・・)
魔女ジェニファとわたし
原題:Jennifer, Hecate, Macbeth, William Mckinley, and Me, Elizabeth
作者:E.L. カニグズバーグ
訳者:松永ふみ子
出版社:岩波書店
ISBN:4001140845
by timeturner
| 2012-08-16 21:03
| 和書
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