2012年 07月 16日
少女イス 地下の国へ |
ロンドンの街から、ひとり、またひとりと子どもたちが消えていく…ハンメルンの笛吹伝説のように、ロンドンの街から、毎月のように大勢の子どもたちがすがたを消していく。なんとリチャード王の息子までもが行方不明に。子どもたちの行方を追って、ダイドーの異母妹であるイスは、ひとり「黄金王」の支配する「北の国」へと向かったのだが…。
少女椅子ではありません。って言っても人間椅子を知ってる人ってもういないのかな。
ダイドーが少女から若い女性になってしまい、児童文学の主人公にはふさわしくなくなったので、作者はこのイスを前作『ダイドーと父ちゃん』で登場させたのだそうです。この作者なら話の種はいくらでもあるのでしょうが、主人公も背景も変えてまったく違う話を書きはじめるよりも、読者としてはなじんだ世界でのシリーズが続いてくれたほうがありがたいです。
そしてこの作品も期待を裏切らない面白さ。どうやらヨークシャー地方と思われる「北の国」の荒れ果てた寒々しい描写とそこに連れていかれた子どもたちの苛酷な運命はとてもリアルで背筋が寒くなります。それにしてもトワイト家の男はどいつもこいつも・・・。でもまあ、子ども向けの本で親をここまでひどく描いているのはいっそ痛快です。どこの国にだってどう見てもだめな親って実際にいるわけですから。
王様とその息子、バタシー公爵であるサイモンのことなど、ちょっと納得いかない展開はあるのですが、それはまあ次の作品『コールド・ショルダー通りのなぞ』でどう料理されているのかを見てから判断することにします。でも、そのあとの3作はまだ訳されていないんですよね。早く出してほしい。
少女イス 地下の国へ
原題:Is
作者:ジョーン・エイキン
訳者:こだま ともこ
出版社:冨山房
ISBN:4572004730
少女椅子ではありません。って言っても人間椅子を知ってる人ってもういないのかな。
ダイドーが少女から若い女性になってしまい、児童文学の主人公にはふさわしくなくなったので、作者はこのイスを前作『ダイドーと父ちゃん』で登場させたのだそうです。この作者なら話の種はいくらでもあるのでしょうが、主人公も背景も変えてまったく違う話を書きはじめるよりも、読者としてはなじんだ世界でのシリーズが続いてくれたほうがありがたいです。
そしてこの作品も期待を裏切らない面白さ。どうやらヨークシャー地方と思われる「北の国」の荒れ果てた寒々しい描写とそこに連れていかれた子どもたちの苛酷な運命はとてもリアルで背筋が寒くなります。それにしてもトワイト家の男はどいつもこいつも・・・。でもまあ、子ども向けの本で親をここまでひどく描いているのはいっそ痛快です。どこの国にだってどう見てもだめな親って実際にいるわけですから。
王様とその息子、バタシー公爵であるサイモンのことなど、ちょっと納得いかない展開はあるのですが、それはまあ次の作品『コールド・ショルダー通りのなぞ』でどう料理されているのかを見てから判断することにします。でも、そのあとの3作はまだ訳されていないんですよね。早く出してほしい。
少女イス 地下の国へ
原題:Is
作者:ジョーン・エイキン
訳者:こだま ともこ
出版社:冨山房
ISBN:4572004730
by timeturner
| 2012-07-16 20:30
| 和書
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