2012年 06月 29日
野蛮なやつら |
親友同士のベンとチョンは、カリフォルニアのラグーナ・ビーチで上質のマリファナを栽培し売ることで成功をおさめ、個性的なオフィーリアとの友好的な三角関係を愉しみつつ、優雅に暮らしていた。だがメキシコの麻薬カルテルが彼らのビジネスに興味を示し、傘下に入ることを断るとオフィーリアを拉致して脅迫にかかった・・・。
リズミカルで歯切れのいい文体にまず「おっ!」と目をみはります。原文がラップ風の文体なんだそうで、翻訳はそれを上手にすくいとっているようです。
文体はいいし、ストーリーも一気に読ませるものをもっているんだけど、個人的には妙な部分でひっかかってどうにも感情移入ができにくかった。
主人公は男二人、女一人。本文中にも言及されている「明日に向かって撃て」とか「冒険者たち」のような設定で、ドラマになりやすい組合せだとは思うんですが、1)頭脳派で人類愛にあふれた男、2)肉体派で耐久力抜群の男、3)容姿と性格だけが取りえで、趣味は買物とセックスだけの女、という組合せがねえ。そして女は男たちに救われるのをひたすら待つだけという・・・。二十一世紀の作品とは思えません。
初めのほうで主要登場人物たちの経歴や性格をひとりずつ詳細に解説していくのもじれったい。どこでどういう教育・訓練を受けて、だからこれこれの能力と武器があってっていちいち説明されているのね。物語をころがしながら少しずつ明らかになっていくほうがスリリングだし、文体に合ったスピーディな展開になるんじゃないかなあ。あるいは、こういうのってゲーム世代向きなのか?
これだけ反社会的、暴力的な内容なのにラストがセンチメンタルで甘いのもなんだかなあ、と思いました。映画だったらいいんじゃない、と思っていたらもう映画化が決まってるんですってね。監督がオリヴァー・ストーンで、俳優はアーロン・ジョンソン、テイラー・キッチュ、ブレイク・ライブリー、サルマ・ハエック、ベニチオ・デル・トロ、ジョン・トラボルタだそうで。ラップ風の文体をセリフにどういかすのか興味津々。
野蛮なやつら
原題:Savages
作者:ドン・ウィンズロウ
訳者:東江一紀
出版社:角川書店
ISBN:4041001749
リズミカルで歯切れのいい文体にまず「おっ!」と目をみはります。原文がラップ風の文体なんだそうで、翻訳はそれを上手にすくいとっているようです。
文体はいいし、ストーリーも一気に読ませるものをもっているんだけど、個人的には妙な部分でひっかかってどうにも感情移入ができにくかった。
主人公は男二人、女一人。本文中にも言及されている「明日に向かって撃て」とか「冒険者たち」のような設定で、ドラマになりやすい組合せだとは思うんですが、1)頭脳派で人類愛にあふれた男、2)肉体派で耐久力抜群の男、3)容姿と性格だけが取りえで、趣味は買物とセックスだけの女、という組合せがねえ。そして女は男たちに救われるのをひたすら待つだけという・・・。二十一世紀の作品とは思えません。
初めのほうで主要登場人物たちの経歴や性格をひとりずつ詳細に解説していくのもじれったい。どこでどういう教育・訓練を受けて、だからこれこれの能力と武器があってっていちいち説明されているのね。物語をころがしながら少しずつ明らかになっていくほうがスリリングだし、文体に合ったスピーディな展開になるんじゃないかなあ。あるいは、こういうのってゲーム世代向きなのか?
これだけ反社会的、暴力的な内容なのにラストがセンチメンタルで甘いのもなんだかなあ、と思いました。映画だったらいいんじゃない、と思っていたらもう映画化が決まってるんですってね。監督がオリヴァー・ストーンで、俳優はアーロン・ジョンソン、テイラー・キッチュ、ブレイク・ライブリー、サルマ・ハエック、ベニチオ・デル・トロ、ジョン・トラボルタだそうで。ラップ風の文体をセリフにどういかすのか興味津々。
野蛮なやつら
原題:Savages
作者:ドン・ウィンズロウ
訳者:東江一紀
出版社:角川書店
ISBN:4041001749
by timeturner
| 2012-06-29 18:28
| 和書
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