2012年 05月 16日
バタシー城の悪者たち |
サイモンは絵を学ぶためにフィールド先生を頼ってロンドンにやってきたが、なぜか知らされていた下宿に先生の姿はなく、下宿屋の一家もフィールド先生など知らないという。なんとひとりでその下宿先に住みながら美術学校に通い、仕事もみつけたサイモンだったが、下宿屋の粗野な娘ダイドーがなにかというとつきまとってくる・・・。
先日読んだ『ウィロビー・チェースのオオカミ』の続編で、このシリーズが「ダイドーの冒険」シリーズと呼ばれているわけがようやくわかりました。それにしても、この薄汚い野生児のような女の子が主人公だったとは! まあ、読んでいくうちにだんだん憎めないところもあることがわかってはくるんですけどね。児童小説としてはかなり異色のヒロインだと思います。
話そのものは『ウィロビー・チェースのオオカミ』よりもっと波乱万丈で面白い。一作目はどちらかというとボニー個人の苦難を描く物語だったのに対して、今回はジェームズ三世の暗殺を狙うハノーヴァー一味の陰謀がメインになっていて、スケールがずっと大きい。
このシリーズは架空のイギリス19世紀を舞台にしています。このイギリスではヴィクトリア女王の代わりに名誉革命で亡命したジェームズ二世の息子で、ジャコバイトの君主であるジェームズ三世が王位についています。現実世界ではアン女王の跡を継いだジョージ一世のハノーヴァー家筋は海外に潜んで王位奪還を狙っているという設定。イギリス国民もジェームズ派とハノーバー派に分かれているようです。慣れないうちはこの世界観がわかりにくいのですが、わからなくてもストーリー展開を理解するのにはあまり障害にはなりません。政権転覆の陰謀があるみたいだなあ、程度の認識で充分。
善玉も悪玉もユニークで興味深いキャラクターが多く、これならシリーズを先まで読み続けたいと思いました。もっともこのあと同じ人たちがずっと出続けるのかどうかは不明ですが。
バタシー城の悪者たち
原題:Black Hearts in Battersea
作者:ジョーン・エイキン
訳者:こだまともこ
出版社:冨山房
ISBN:4572004757
先日読んだ『ウィロビー・チェースのオオカミ』の続編で、このシリーズが「ダイドーの冒険」シリーズと呼ばれているわけがようやくわかりました。それにしても、この薄汚い野生児のような女の子が主人公だったとは! まあ、読んでいくうちにだんだん憎めないところもあることがわかってはくるんですけどね。児童小説としてはかなり異色のヒロインだと思います。
話そのものは『ウィロビー・チェースのオオカミ』よりもっと波乱万丈で面白い。一作目はどちらかというとボニー個人の苦難を描く物語だったのに対して、今回はジェームズ三世の暗殺を狙うハノーヴァー一味の陰謀がメインになっていて、スケールがずっと大きい。
このシリーズは架空のイギリス19世紀を舞台にしています。このイギリスではヴィクトリア女王の代わりに名誉革命で亡命したジェームズ二世の息子で、ジャコバイトの君主であるジェームズ三世が王位についています。現実世界ではアン女王の跡を継いだジョージ一世のハノーヴァー家筋は海外に潜んで王位奪還を狙っているという設定。イギリス国民もジェームズ派とハノーバー派に分かれているようです。慣れないうちはこの世界観がわかりにくいのですが、わからなくてもストーリー展開を理解するのにはあまり障害にはなりません。政権転覆の陰謀があるみたいだなあ、程度の認識で充分。
善玉も悪玉もユニークで興味深いキャラクターが多く、これならシリーズを先まで読み続けたいと思いました。もっともこのあと同じ人たちがずっと出続けるのかどうかは不明ですが。
バタシー城の悪者たち
原題:Black Hearts in Battersea
作者:ジョーン・エイキン
訳者:こだまともこ
出版社:冨山房
ISBN:4572004757
by timeturner
| 2012-05-16 20:21
| 和書
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