2012年 05月 07日
都市と都市 |
欧州にあるふたつの都市国家〈ベジェル〉と〈ウル・コーマ〉は、地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく……。
ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞、ローカス賞、クラーク賞、英国SF協会賞を総なめという宣伝文句を見て、ほー、それはかなりの本格SF、あるいは斬新なニューウェーヴかと期待して読んだのですが・・・なんか普通のミステリーでした。
最初のほうはベジェルとウル・コーマの関係や、そこでの生活――いかに交錯する相手都市の建物や人を「見ない」ようにするか――といったことの説明が延々と続くので退屈し、なかなか先に進みませんでした。途中からボルルがウル・コーマに出張して相手国の警察官と協力して捜査を始めるようになるとようやく面白くなってくるのですが、それはあくまでも警察小説としてであってSFとしてではない。
最後のほうになってようやくSFらしい解決が提示されるのですが、なんか納得できなかったなあ。というか、二つの国家のあり方はかつてのベルリンを思わせて興味深い点もないことはないんだけど、でもやっぱり馬鹿馬鹿しいし、「ブリーチ」の存在にいたっては容認しがたいものがありました。ディストピア小説ならこれでもいいけど、ここまで主人公に感情移入させてひっぱってきてこれというのはね。
巧く書けてる小説だとは思うけど、私にはどうもすっきりしない読後感をもたらしました。
都市と都市
原題:The City & The City
作者:チャイナ・ミエヴィル
訳者:日暮雅通
出版社:早川書房
ISBN:4150118353
ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞、ローカス賞、クラーク賞、英国SF協会賞を総なめという宣伝文句を見て、ほー、それはかなりの本格SF、あるいは斬新なニューウェーヴかと期待して読んだのですが・・・なんか普通のミステリーでした。
最初のほうはベジェルとウル・コーマの関係や、そこでの生活――いかに交錯する相手都市の建物や人を「見ない」ようにするか――といったことの説明が延々と続くので退屈し、なかなか先に進みませんでした。途中からボルルがウル・コーマに出張して相手国の警察官と協力して捜査を始めるようになるとようやく面白くなってくるのですが、それはあくまでも警察小説としてであってSFとしてではない。
最後のほうになってようやくSFらしい解決が提示されるのですが、なんか納得できなかったなあ。というか、二つの国家のあり方はかつてのベルリンを思わせて興味深い点もないことはないんだけど、でもやっぱり馬鹿馬鹿しいし、「ブリーチ」の存在にいたっては容認しがたいものがありました。ディストピア小説ならこれでもいいけど、ここまで主人公に感情移入させてひっぱってきてこれというのはね。
巧く書けてる小説だとは思うけど、私にはどうもすっきりしない読後感をもたらしました。
都市と都市
原題:The City & The City
作者:チャイナ・ミエヴィル
訳者:日暮雅通
出版社:早川書房
ISBN:4150118353
by timeturner
| 2012-05-07 20:43
| 和書
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