2012年 03月 04日
柴田元幸ハイブ・リット |
「ハイブ・リット」とは、hybrid(混成の)とliterature(文学)の合成語で、文学を楽しみながら多面的にすぐれた英語に親しめるCD-BOOK の呼称だそうです。おそらく日本で作られ、日本でだけ知られている言葉。その言葉を形にしたのがこの本で、アメリカ文学界の著名な作家たちの短編が六編掲載されています。
横書きの本の左ページに英語、右ページに柴田元幸さんによる翻訳が印刷されています。それだけだったらこれまでも研究社の英語学習用の本で使われてきた手法ですが、この本にはさらにCDが2枚ついていて、それぞれの作品の作者による朗読がおさめられています。これはレア。
柴田さんによると、この本を使って英語力をアップさせるには、
収録作品は選りすぐりで、どれもユニークで面白い。そして英語はわかりやすい。
Happy Birthday/バリー・ユアグロー
Polie A Deux/レベッカ・ブラウン
The Great Divorce/ケリー・リンク
Pet Milk/スチュアート・ダイベック
Snowmen/スティーヴン・ミルハウザー
Auggie Wren's Christmas Story/ポール・オースター
レベッカ・ブラウンの「Polie A Deux」は、音楽家と絵描きのカップルがお互いに相手の目をえぐり、耳を焼いて離れられないふたりになろうとする怖い話ですが、作者の声と話の中身がぴったりすぎてよけいに怖い。なのにロマンチック。ふたりの性別が明記されていないので、どうとでも読めるというのも面白い。
ケリー・リンクは早口でちょっと癖のある喋り方をする人ですが、生者と死者の結婚が認められている世界で、死んだ妻との間に(死んだ)子供が三人いるにもかかわらず離婚しようとしている生きた男の話にはぴったり。死人や霊媒が出てきたりはするけどホラーではなく、基本的にはコメディ。
ダイベックのはすみません、読んでるときも朗読のときも寝ちゃいました(^^;)。よく書けてるんだと思うけど、同じパターンが繰り返されるというのが私には眠さを誘うようです。声も喋り方もなめらかでよけいに。
ミルハウザーの「Snowmen」は雪だるまの話かと思うとさにあらず。もっとファンタジックな子供の世界を描いたお話でした。児童小説らしいのですが、表現は大人向きで美しい。
オースターのは前にどこかで読んだことがある。クリスマス時期に雑誌にでも載っていたのかもしれません。この人の喋り方は独特ですね。舌が長いんだか短いんだか、普通の人とはちょっと違う。逆にそれだから聴いていても眠くならずに聴けるのかも。つい耳を傾けたくなってしまう声というのか。
柴田元幸ハイブ・リット
編訳:柴田元幸
出版社:アルク
ISBN:4757414935
横書きの本の左ページに英語、右ページに柴田元幸さんによる翻訳が印刷されています。それだけだったらこれまでも研究社の英語学習用の本で使われてきた手法ですが、この本にはさらにCDが2枚ついていて、それぞれの作品の作者による朗読がおさめられています。これはレア。
柴田さんによると、この本を使って英語力をアップさせるには、
1)英語で読むだそうです。なるほど確かにそうやったら英語力アップするかもしれないなあ。不精な私は、
2)朗読を聞く
3)朗読を聴き、1センテンスごと声に出して言ってみる
4)朗読の英語を書き取る
5)日本語に訳す
1)英語または日本語で読む(叙情的な部分は英語で、叙述的な部分は日本語で読むほうがらくなので、ひとつの物語でも右を読んだり左を読んだりスイッチした)で終わってしまいましたが、それでも得るものはあったと思う。英語と日本語の両方が一度に目に入るところにあるというのは、読んでいて「あれ?」と思ったときにすぐ参照できて精神衛生にとてもいい。そしてそれでもよくわからなかった作品の雰囲気というか、どういうテンションで書かれているのかということが、書いた本人の朗読を聴けば一耳瞭然。「Happy Birthday」のユアグローがやんちゃなお兄ちゃんという感じで、ああ、こういうふうに感じればいいのか、とストンと納得しました。各作品の冒頭にある柴田さんの解説も参考になります。
2)朗読を聴く(作品によっては気持よく寝てしまった)
収録作品は選りすぐりで、どれもユニークで面白い。そして英語はわかりやすい。
Happy Birthday/バリー・ユアグロー
Polie A Deux/レベッカ・ブラウン
The Great Divorce/ケリー・リンク
Pet Milk/スチュアート・ダイベック
Snowmen/スティーヴン・ミルハウザー
Auggie Wren's Christmas Story/ポール・オースター
レベッカ・ブラウンの「Polie A Deux」は、音楽家と絵描きのカップルがお互いに相手の目をえぐり、耳を焼いて離れられないふたりになろうとする怖い話ですが、作者の声と話の中身がぴったりすぎてよけいに怖い。なのにロマンチック。ふたりの性別が明記されていないので、どうとでも読めるというのも面白い。
ケリー・リンクは早口でちょっと癖のある喋り方をする人ですが、生者と死者の結婚が認められている世界で、死んだ妻との間に(死んだ)子供が三人いるにもかかわらず離婚しようとしている生きた男の話にはぴったり。死人や霊媒が出てきたりはするけどホラーではなく、基本的にはコメディ。
ダイベックのはすみません、読んでるときも朗読のときも寝ちゃいました(^^;)。よく書けてるんだと思うけど、同じパターンが繰り返されるというのが私には眠さを誘うようです。声も喋り方もなめらかでよけいに。
ミルハウザーの「Snowmen」は雪だるまの話かと思うとさにあらず。もっとファンタジックな子供の世界を描いたお話でした。児童小説らしいのですが、表現は大人向きで美しい。
オースターのは前にどこかで読んだことがある。クリスマス時期に雑誌にでも載っていたのかもしれません。この人の喋り方は独特ですね。舌が長いんだか短いんだか、普通の人とはちょっと違う。逆にそれだから聴いていても眠くならずに聴けるのかも。つい耳を傾けたくなってしまう声というのか。
柴田元幸ハイブ・リット
編訳:柴田元幸
出版社:アルク
ISBN:4757414935
by timeturner
| 2012-03-04 19:41
| 和書
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