2012年 02月 27日
オリーヴ・キタリッジの生活 |
アメリカ北東部の小さな港町クロズビーで暮らすオリーヴ・キタリッジは数学の教師、薬局を経営する夫ヘンリーと一人息子クリストファーと暮らしている。タイトルだけ見るとオリーヴを中心に話が展開するように思えるけれど、実際には、町のいろいろな人たちのいろいろな話が連作短編の形でつながれていて、オリーヴはその中で大きな存在を占める時もあれば片隅にちょこっと出てくるだけだったりもする。
でも、そうして順繰りに読んでいくうちにいろいろな立場・状況の人から見たオリーヴ像が読者の中に積み上げられていって、紙の上だけではない、生身の人間としてのオリーヴ・キタリッジという女性の姿になっていく。同時に、さまざまな個性をもつ登場人物たちが織りなす生々しく、どこか寂しい人生も見えてくる。作者の腕は確かです。
それにしてもオリーヴのキャラクターは強烈。そういえばこういう人いたなあ、なんて思いながら時には笑い、ときにはしかめつらをしながら、最後には「でも、あなたも一生懸命やってきたのよね」と肩を叩いてあげたくなりました。確かに身勝手な人間ではあるけれど、心の底に純粋で傷つきやすいものを持ち続けているんですよね。まあ、こういう人を家族に持つのだけはまっぴらごめんですが。
ピュリッツァー賞を受賞したそうですが、なるほど、淡々としていながら細かい心のひだまで描き出し、川の流れに身をまかせ、時には少し荒れ、時には迂回したりしながら、ふと気づいたら海の懐に抱かれていた、そんな気分にさせる作品でした。
オリーヴ・キタリッジの生活
原題:Olive Kitteridge
作者:エリザベス・ストラウト
訳者:小川高義
出版社:早川書房
ISBN:4152091622
でも、そうして順繰りに読んでいくうちにいろいろな立場・状況の人から見たオリーヴ像が読者の中に積み上げられていって、紙の上だけではない、生身の人間としてのオリーヴ・キタリッジという女性の姿になっていく。同時に、さまざまな個性をもつ登場人物たちが織りなす生々しく、どこか寂しい人生も見えてくる。作者の腕は確かです。
それにしてもオリーヴのキャラクターは強烈。そういえばこういう人いたなあ、なんて思いながら時には笑い、ときにはしかめつらをしながら、最後には「でも、あなたも一生懸命やってきたのよね」と肩を叩いてあげたくなりました。確かに身勝手な人間ではあるけれど、心の底に純粋で傷つきやすいものを持ち続けているんですよね。まあ、こういう人を家族に持つのだけはまっぴらごめんですが。
ピュリッツァー賞を受賞したそうですが、なるほど、淡々としていながら細かい心のひだまで描き出し、川の流れに身をまかせ、時には少し荒れ、時には迂回したりしながら、ふと気づいたら海の懐に抱かれていた、そんな気分にさせる作品でした。
オリーヴ・キタリッジの生活
原題:Olive Kitteridge
作者:エリザベス・ストラウト
訳者:小川高義
出版社:早川書房
ISBN:4152091622
by timeturner
| 2012-02-27 17:19
| 和書
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