2012年 02月 23日
The Last of the Country House Murders |
資源も産業も枯渇し、歴史遺産を目当てにくる観光客だけが収入源となった近未来のイギリス。革命によって成立した政府はかつての貴族階級をそのままカントリーハウスの中に住まわせ、観光資源として活用していた。されにはそのカントリーハウスで殺人事件を仕立て、観光客に犯人を当てさせる一大イベントを企画する・・・。
それはともかく、中身はちょっとわかりにくかった。ストーリーそのものは単純なんですが、背景となっているディストピアの説明が完全にはされていないので、途中で何回か「あれ、どうしてこうなるんだ?」と前に戻って確認しなくてはならなかったり、キャラクターが死んだはずなのに生きていた理由がなかったり。ネイティヴでないとニュアンスがつかめないのかもしれない。
それと宮脇さんが「作者の意図は社会風刺や文学のパロディにあるようだ」と書いていましたが、過去のカントリーハウスものミステリーをほとんど読んだことのない私にはどのへんがパロディなのかよくわからなかった、というのも大きい。
まあでも、いくらイギリスの古い建物がその時代時代で改築・増築を繰り返してきたからといって、庭にヘンリー・ジェイムズの像を置きたがるイギリス貴族なんてのはありそうにないな。
The Last of the Country House Murders
作者:Emma Tennant
出版社:Thomas Nelson
ISBN:0840764901
宮脇孝雄さんの『書斎の旅人―イギリス・ミステリ歴史散歩』の中で紹介されていた『最後のカントリーハウス殺人事件』を探したのですが、どうやら翻訳は出ておらず文中で引用されていた翻訳文は宮脇さんがそこだけ訳したようです。原書をチェックしたらアマゾンの中古で249円というのがあったのでポチってしまいました。イギリスからの発送でこの値段って割りに合うんでしょうかね? 送料は海外からだろうが250円だし。おまけに届いた本を見たらなんとトビラに作者のサインが! まあ、献本相手の名前も書いてあるのでサイン本としての価値はありませんが、それにしても249円っていうのはテナントさんに失礼なんでは?
それと宮脇さんが「作者の意図は社会風刺や文学のパロディにあるようだ」と書いていましたが、過去のカントリーハウスものミステリーをほとんど読んだことのない私にはどのへんがパロディなのかよくわからなかった、というのも大きい。
まあでも、いくらイギリスの古い建物がその時代時代で改築・増築を繰り返してきたからといって、庭にヘンリー・ジェイムズの像を置きたがるイギリス貴族なんてのはありそうにないな。
The Last of the Country House Murders
作者:Emma Tennant
出版社:Thomas Nelson
ISBN:0840764901
by timeturner
| 2012-02-23 19:50
| 洋書
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