2012年 01月 18日
贋作『坊っちゃん』殺人事件 |
東京に戻った坊っちゃんは鉄道会社に勤め、清と一緒に暮らしたが、三年後、その清も死に、ひとりぼっちになってしまったところに山嵐と遭遇、赤シャツが自殺したと聞かされる。真相を探るため松山に戻ったふたりだったが・・・。
『吾輩はシャーロック・ホームズである』がとても面白かったので、これはどうかなと読んでみましたが、そうそう同じ柳の下に泥鰌はいませんね。
原作からの引用はもちろん、それ以外の部分でも文体はそっくりですし(真似しやすい文体ではあります)、懐かしい登場人物やオリジナルのキャラも出てきて、それなりに推理小説の形にはなっているのですが、自由民権運動や社会主義運動とからめて社会派風に処理しようとしたところに無理を感じました。『坊っちゃん』の良さって、政治や思想とはまったく関係のないところで生まれたままの心で生きる主人公そのものがテーマだったから感動的だったので、こんなふうにごちゃごちゃ理屈をつければつけるほど色褪せてしまいます。
カバーデザインにターナーをもってきたのはなかなかのセンスだなと思いました。
贋作『坊っちゃん』殺人事件
作者:柳 広司
出版社:朝日新聞社
ISBN:4022576707
『吾輩はシャーロック・ホームズである』がとても面白かったので、これはどうかなと読んでみましたが、そうそう同じ柳の下に泥鰌はいませんね。
原作からの引用はもちろん、それ以外の部分でも文体はそっくりですし(真似しやすい文体ではあります)、懐かしい登場人物やオリジナルのキャラも出てきて、それなりに推理小説の形にはなっているのですが、自由民権運動や社会主義運動とからめて社会派風に処理しようとしたところに無理を感じました。『坊っちゃん』の良さって、政治や思想とはまったく関係のないところで生まれたままの心で生きる主人公そのものがテーマだったから感動的だったので、こんなふうにごちゃごちゃ理屈をつければつけるほど色褪せてしまいます。
カバーデザインにターナーをもってきたのはなかなかのセンスだなと思いました。
贋作『坊っちゃん』殺人事件
作者:柳 広司
出版社:朝日新聞社
ISBN:4022576707
by timeturner
| 2012-01-18 23:17
| 和書
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