2011年 10月 15日
筆まかせ抄 |
青雲の志を抱いて状況した子規の青春時代と文学思想の原型を示す随筆集。(岩波文庫の帯より)
随筆集というのとはちょっと違うような気がするんですが。子規はとても筆まめな人でした。なんてったって死ぬまで病床日記を書き続けていた人ですからね。
日々目にしたこと耳にしたこと考えたこと、およそありとあらゆることを書きとめていた。時には友人から来た手紙までも面白いと思うとそのまま書き写したりしていた。ですので当然ながら漱石との往復書簡も含まれています。さらにすごいのはそうして書いたものをまとめて雑誌の形にし、友人たちに回覧していたのです。
子規が現代に生きていたら、絶対にブロガーですね。でもって俳句はツイッター。おそらくネット界の寵児になっていたはず。だって、ここに書かれていることはおよそ人間に考えられる限界まで広範囲で、しかもそれを考察する視点がユニーク、ディープ、あるいはユーモラスと、単なる感想・感慨などでは終わらないものばかり。
「言語と人気、気候」という一文があるのですが、ここでは東京の言葉は英語に、関西の言葉はフランス語やイタリー語に似ているとしています。東京で「買って」と歯切れよく言うところを上方では「買うて」と柔らかく伸ばして発音するあたりがそうだというのですが、言われてみるとそんな気もしてきます。また、東京のようにせわしない生活をしている場所ではアクセントが最初に来てさっさと言い終わるとことが、のんびりした土地(松山でしょうか)だと後ろのほうに来てさらにそれが長く伸びる。
まあ、しょうもないことと言えばそうなんですが、中には明治時代によくぞここまで考えられたものだな、なんてことも書かれています。
そしていつも感じることですが、この頃の学生は本当によく勉強している。学校の勉強が嫌いと公言してはばからず、ついには大学を中退した子規ですら、興味をもった事柄については私などの学生時代とは比べ物にならないほど深い知識を身につけていました。いったいどうしたらこういうふうな若者が再び現れるのだろうか。
本来の筆まかせは子規全集で全4巻になるほど厖大な量なのですが、この文庫ではそこから選んだものだけ収録してあります。できることなら全部読んでみたいものです。
作者:正岡子規
出版社:岩波書店
ISBN:4003101391
随筆集というのとはちょっと違うような気がするんですが。子規はとても筆まめな人でした。なんてったって死ぬまで病床日記を書き続けていた人ですからね。
日々目にしたこと耳にしたこと考えたこと、およそありとあらゆることを書きとめていた。時には友人から来た手紙までも面白いと思うとそのまま書き写したりしていた。ですので当然ながら漱石との往復書簡も含まれています。さらにすごいのはそうして書いたものをまとめて雑誌の形にし、友人たちに回覧していたのです。
子規が現代に生きていたら、絶対にブロガーですね。でもって俳句はツイッター。おそらくネット界の寵児になっていたはず。だって、ここに書かれていることはおよそ人間に考えられる限界まで広範囲で、しかもそれを考察する視点がユニーク、ディープ、あるいはユーモラスと、単なる感想・感慨などでは終わらないものばかり。
「言語と人気、気候」という一文があるのですが、ここでは東京の言葉は英語に、関西の言葉はフランス語やイタリー語に似ているとしています。東京で「買って」と歯切れよく言うところを上方では「買うて」と柔らかく伸ばして発音するあたりがそうだというのですが、言われてみるとそんな気もしてきます。また、東京のようにせわしない生活をしている場所ではアクセントが最初に来てさっさと言い終わるとことが、のんびりした土地(松山でしょうか)だと後ろのほうに来てさらにそれが長く伸びる。
まあ、しょうもないことと言えばそうなんですが、中には明治時代によくぞここまで考えられたものだな、なんてことも書かれています。
そしていつも感じることですが、この頃の学生は本当によく勉強している。学校の勉強が嫌いと公言してはばからず、ついには大学を中退した子規ですら、興味をもった事柄については私などの学生時代とは比べ物にならないほど深い知識を身につけていました。いったいどうしたらこういうふうな若者が再び現れるのだろうか。
本来の筆まかせは子規全集で全4巻になるほど厖大な量なのですが、この文庫ではそこから選んだものだけ収録してあります。できることなら全部読んでみたいものです。
作者:正岡子規
出版社:岩波書店
ISBN:4003101391
by timeturner
| 2011-10-15 23:38
| 和書
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