2011年 07月 27日
風に桜の舞う道で |
大学受験に失敗した「僕」は予備校の特待生試験に合格し、9人の浪人生たちと桜花寮で1年間過ごした。そして十年たち、寮生仲間のリュータが死んだという噂を聞いた「僕」は、当時の仲間たちと連絡をとってみた・・・。
10年前と10年後の話が交互に出てくるので、読者は語り手アキラとその仲間たちの青春時代と現在を同時に知っていくことになります。リュータは本当に死んだのか、桜花寮を出て別れ別れになった仲間たちはどんな10年を生きてきたのか、少しずつ明かされていくあたりはミステリー仕立てで思わず引き込まれてしまいます。手にとったら最後まで一気に読み終えてしまいました。
とはいえ、実際にはミステリーでもなんでもなく、それぞれに夢や希望をもっていた若者たちが大学に進み、社会に出て、挫折したり失望したりしながらも懸命に生きていく姿を描いた青春小説です。
私は浪人の経験がないのですが、この本を読むとこんなふうに18歳のころに親元を離れて同じ年の仲間と共同生活をしてみたかったという気になります。もっとも私の場合はこの子たちのように純粋で一途にはなれなかっただろうな。
お話とはいえ、ここに出てくる若者たちは真面目です。浪人生の本分を守ってきちんと勉強するし、酒や煙草を飲む者はいても羽目をはずしすぎたり、ドロップアウトしたりはしません。教師や寮長たち大人も理解があってまともです。そういう意味ではいささかきれいごとに過ぎるとも言えますが、それでも迷ったり悩んだり笑ったり泣いたりの青春がなつかしく思い出されて、気持ちのいい読後感。世界情勢や政治・経済に関する青臭い意見も「こういうことを言いたい時期ってあったよなあ」と納得できてしまう。
でも、いちばん素敵なのは性格もめざす道も違う10人の若者たちが互いにかばい合い、励まし合う姿ですね。若者にも大人にも楽しめる青春小説。
作者:竹内 真
出版社:新潮社
ISBN:4101298521
10年前と10年後の話が交互に出てくるので、読者は語り手アキラとその仲間たちの青春時代と現在を同時に知っていくことになります。リュータは本当に死んだのか、桜花寮を出て別れ別れになった仲間たちはどんな10年を生きてきたのか、少しずつ明かされていくあたりはミステリー仕立てで思わず引き込まれてしまいます。手にとったら最後まで一気に読み終えてしまいました。
とはいえ、実際にはミステリーでもなんでもなく、それぞれに夢や希望をもっていた若者たちが大学に進み、社会に出て、挫折したり失望したりしながらも懸命に生きていく姿を描いた青春小説です。
私は浪人の経験がないのですが、この本を読むとこんなふうに18歳のころに親元を離れて同じ年の仲間と共同生活をしてみたかったという気になります。もっとも私の場合はこの子たちのように純粋で一途にはなれなかっただろうな。
お話とはいえ、ここに出てくる若者たちは真面目です。浪人生の本分を守ってきちんと勉強するし、酒や煙草を飲む者はいても羽目をはずしすぎたり、ドロップアウトしたりはしません。教師や寮長たち大人も理解があってまともです。そういう意味ではいささかきれいごとに過ぎるとも言えますが、それでも迷ったり悩んだり笑ったり泣いたりの青春がなつかしく思い出されて、気持ちのいい読後感。世界情勢や政治・経済に関する青臭い意見も「こういうことを言いたい時期ってあったよなあ」と納得できてしまう。
でも、いちばん素敵なのは性格もめざす道も違う10人の若者たちが互いにかばい合い、励まし合う姿ですね。若者にも大人にも楽しめる青春小説。
作者:竹内 真
出版社:新潮社
ISBN:4101298521
by timeturner
| 2011-07-27 21:19
| 和書
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