2011年 07月 19日
グリーン・ノウの川 |
夏のあいだ、グリーン・ノウの屋敷を借りた女性人類学者のビギン博士とミス・シビラは、せっかく広い屋敷なのだからと、博士の姪のアイダと難民の子どもふたりを招待した。オスカーは父親を殺されたポーランド人の少年でアイダと同い年、ピンはミャンマンーから逃れてきた中国人の少年で年下だった。三人は屋敷のそばを流れる川と、その中に散らばる無数の小島を探検していくことにする・・・。『グリーン・ノウの煙突』に続くシリーズ3作目。
冒頭でなんの説明もなくグリーン・ノウの住人がオールドノウ夫人でなくなっているので驚きました。一瞬、おばあさんが亡くなってしまったのかしら、とちょっとドキドキしました。結局、最後まで説明はないのですが、訳者あとがきによると夏休みの間旅行に出かけるので屋敷を貸したということだそうです。どうして本文には書かれていないのに訳者は知ってるんだ?
それはともかく、こういう状況なのでトーリーも出てきません。いきなり知らない登場人物ばかりになって最初のうちは戸惑うのですが、三人がいろいろな冒険に出かけ、夢とも空想ともつかない不思議な体験を次から次へとするので、すぐに引きこまれてしまいます。
相変わらず自然描写の素晴らしさは息をのむほど。どうしてこんなふうに書けるんだろう。もちろんこういう川のそばにずっと住んで、毎日目にし、耳で聴いていたからこそなんでしょうが、ふつうにぼーっと暮らしていたらこんなふうには書けません。舞台が川なので、『たのしい川べ』に出てきたような動物たちも登場してうれしくなります。
これまではどちらかというとグリーン・ノウ屋敷の住人だけの世界で物語が進行していましたが、この本の中では博士が旅してきた世界のこと、難民の子どもたちのへてきたつらい経験、また子どもたちが遭遇する人びとの人生など、とても視野が広くなっているのが目につきました。作者が初めは自分のよく知っている世界から始めて、書き慣れるにしたがって外へと視野を広げていったというところなのでしょうか。でも、ちょっとさびしい気もする。このあとの本でオールドノウ夫人やトーリーに再会できるといいなあ。
グリーン・ノウの川 (グリーン・ノウ物語 3)
原題:The River at Green Knowe
作者:ルーシー・M・ボストン
訳者:亀井俊介
出版社:評論社
ISBN:4566012638
冒頭でなんの説明もなくグリーン・ノウの住人がオールドノウ夫人でなくなっているので驚きました。一瞬、おばあさんが亡くなってしまったのかしら、とちょっとドキドキしました。結局、最後まで説明はないのですが、訳者あとがきによると夏休みの間旅行に出かけるので屋敷を貸したということだそうです。どうして本文には書かれていないのに訳者は知ってるんだ?
それはともかく、こういう状況なのでトーリーも出てきません。いきなり知らない登場人物ばかりになって最初のうちは戸惑うのですが、三人がいろいろな冒険に出かけ、夢とも空想ともつかない不思議な体験を次から次へとするので、すぐに引きこまれてしまいます。
相変わらず自然描写の素晴らしさは息をのむほど。どうしてこんなふうに書けるんだろう。もちろんこういう川のそばにずっと住んで、毎日目にし、耳で聴いていたからこそなんでしょうが、ふつうにぼーっと暮らしていたらこんなふうには書けません。舞台が川なので、『たのしい川べ』に出てきたような動物たちも登場してうれしくなります。
これまではどちらかというとグリーン・ノウ屋敷の住人だけの世界で物語が進行していましたが、この本の中では博士が旅してきた世界のこと、難民の子どもたちのへてきたつらい経験、また子どもたちが遭遇する人びとの人生など、とても視野が広くなっているのが目につきました。作者が初めは自分のよく知っている世界から始めて、書き慣れるにしたがって外へと視野を広げていったというところなのでしょうか。でも、ちょっとさびしい気もする。このあとの本でオールドノウ夫人やトーリーに再会できるといいなあ。
グリーン・ノウの川 (グリーン・ノウ物語 3)
原題:The River at Green Knowe
作者:ルーシー・M・ボストン
訳者:亀井俊介
出版社:評論社
ISBN:4566012638
by timeturner
| 2011-07-19 22:30
| 和書
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