2011年 05月 26日
美しき身辺整理 |
タイトルからは上品に年をとった女性が無駄なもののないすっきりとした老後を過ごしている様子がうかがえて、なにかコツがあるのならぜひ知りたいと思って借りてみたのですが(予約が多くてけっこう待った)、考えていたものとはちょっと違う内容でした。
もちろん死後の後片付けならぬ生前の先片付けと称して身の回りの不要なものをできるだけ処分しましょう、という提言もあるのですが、全体からするとほんの数ページで内容も誰でも考えているようなことばかり、役には立ちませんでした。
それじゃあ何が書かれているのかというと、「死」というものとどう取り組むか、ですね。お墓や葬儀、遺言といった馬鹿馬鹿しいけれど必要なことについて、どうしたらスリム化できるだろうかと考えています。
また、死に至るまでの闘病や介護についてもかなりの紙数がさかれていて、これは必至の事実ではあるけれど読むのはなかなかに気が重いものです。時代小説の作家らしく、歴史的な資料からの興味深い引用が随所にされていて、単なる実用書にはない「読み物」としての面白さがあるので救われていますが。
個人的に参考になったのは老人のひとり暮らしについて書かれた部分。著者自身がひとり暮らしの75歳なので、このあたりはとても共感できることが多く、「そうだ、そうだ」と溜飲をさげる部分もたくさんありました。政府・官僚に対する歯に衣着せぬ批判にはやんやの喝采を送りたい。この方、ご自分でも書いていますが、かなりの「意地悪婆さん」なんですよね。言いたいことは他人がぎょっとするようなことでも平気で口にしてしまうタイプらしく、ときどき自分を見るようで笑ってしまいました。
ひとつだけ、あ、違うんだなあ、と思ったのは、パソコンを活用しましょうという項で、ブログや掲示板で若い人が何か馬鹿なことを言っていたら、昔、近所の年寄りが子どもの悪さを叱ったときのように「こらーっ!」と叱ってやりましょう、という提言。近所の年寄りの小言が効いたのは面と向かって叱ったからであって、顔が見えない匿名のネット世界では効果がないばかりか、かえってその場を泥沼化するだけだというのがわかっていないんですね。
出版社:新潮社
ISBN:9784103783022
もちろん死後の後片付けならぬ生前の先片付けと称して身の回りの不要なものをできるだけ処分しましょう、という提言もあるのですが、全体からするとほんの数ページで内容も誰でも考えているようなことばかり、役には立ちませんでした。
それじゃあ何が書かれているのかというと、「死」というものとどう取り組むか、ですね。お墓や葬儀、遺言といった馬鹿馬鹿しいけれど必要なことについて、どうしたらスリム化できるだろうかと考えています。
また、死に至るまでの闘病や介護についてもかなりの紙数がさかれていて、これは必至の事実ではあるけれど読むのはなかなかに気が重いものです。時代小説の作家らしく、歴史的な資料からの興味深い引用が随所にされていて、単なる実用書にはない「読み物」としての面白さがあるので救われていますが。
個人的に参考になったのは老人のひとり暮らしについて書かれた部分。著者自身がひとり暮らしの75歳なので、このあたりはとても共感できることが多く、「そうだ、そうだ」と溜飲をさげる部分もたくさんありました。政府・官僚に対する歯に衣着せぬ批判にはやんやの喝采を送りたい。この方、ご自分でも書いていますが、かなりの「意地悪婆さん」なんですよね。言いたいことは他人がぎょっとするようなことでも平気で口にしてしまうタイプらしく、ときどき自分を見るようで笑ってしまいました。
ひとつだけ、あ、違うんだなあ、と思ったのは、パソコンを活用しましょうという項で、ブログや掲示板で若い人が何か馬鹿なことを言っていたら、昔、近所の年寄りが子どもの悪さを叱ったときのように「こらーっ!」と叱ってやりましょう、という提言。近所の年寄りの小言が効いたのは面と向かって叱ったからであって、顔が見えない匿名のネット世界では効果がないばかりか、かえってその場を泥沼化するだけだというのがわかっていないんですね。
美しき身辺整理
作者:竹田真砂子出版社:新潮社
ISBN:9784103783022
by timeturner
| 2011-05-26 19:59
| 和書
|
Comments(0)