2011年 04月 06日
マリー・アントワネットの宮廷画家---ルイーズ・ヴィジェ・ルブランの生涯 |
先日見た「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン展」の画家、エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの生涯について書かれた本です。画家の娘として生まれ、幼い頃から絵の手ほどきを受けて、10代前半から肖像画家を職業としていてルイーズはマリー・アントワネットの寵愛を受けて、王族・貴族からの依頼を受ける人気肖像画家となりますが、やがてフランス革命が勃発。フランスを逃れてイタリア、オーストリア、ロシアを転々としながら各地の王族・貴族・金持ちたちの肖像画を描いて生活します。革命政府の転覆後にはいったんフランスに戻ったものの、不安定な国情のためにイギリスやスイスに滞在、やがて王政を廃止して政情が安定したフランスに戻って86歳で亡くなるまで創作活動を続けながら留まりました。
激動の時代を生きた女流画家であり、夫婦関係、母娘関係もなかなか波乱に満ちていて、つきあう上流階級の人々の名前は歴史の本で目にしたことのあるものばかり。今とは違い旅に大きな危険が伴う時代に女だけでヨーロッパを旅していったルイーズの人生は、まさに波乱万丈。どう表現しても実にドラマチックな物語になります。ルイーズ自身も回想録を出版しているといいます。
それなのに、どうしてこれほどつまらない本にできるのでしょう? よく調べてあることは認めます。資料の数は半端じゃないでしょう。でも、こういう本を書くときは資料を読み、自分の中で消化したのちに読者が楽しんで読めるように書き起こすのが普通では? これはまるで学生の卒論のようです。集めた資料から抜き書きしたカードの内容をそのまま年代順に並べて書いただけ。名前と数字の羅列。卒論なら認めてもらえるのかもしれませんが、お金をとって売る本ではなあ。いっそのこと回想録をそのまま訳して出せばよかったのに。
マリー・アントワネットの宮廷画家---ルイーズ・ヴィジェ・ルブランの生涯
作者:石井美樹子
出版社:河出書房新社
ISBN:4309225381
激動の時代を生きた女流画家であり、夫婦関係、母娘関係もなかなか波乱に満ちていて、つきあう上流階級の人々の名前は歴史の本で目にしたことのあるものばかり。今とは違い旅に大きな危険が伴う時代に女だけでヨーロッパを旅していったルイーズの人生は、まさに波乱万丈。どう表現しても実にドラマチックな物語になります。ルイーズ自身も回想録を出版しているといいます。
それなのに、どうしてこれほどつまらない本にできるのでしょう? よく調べてあることは認めます。資料の数は半端じゃないでしょう。でも、こういう本を書くときは資料を読み、自分の中で消化したのちに読者が楽しんで読めるように書き起こすのが普通では? これはまるで学生の卒論のようです。集めた資料から抜き書きしたカードの内容をそのまま年代順に並べて書いただけ。名前と数字の羅列。卒論なら認めてもらえるのかもしれませんが、お金をとって売る本ではなあ。いっそのこと回想録をそのまま訳して出せばよかったのに。
マリー・アントワネットの宮廷画家---ルイーズ・ヴィジェ・ルブランの生涯
作者:石井美樹子
出版社:河出書房新社
ISBN:4309225381
by timeturner
| 2011-04-06 22:09
| 和書
|
Comments(3)
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滝夜叉
at 2011-04-08 18:55
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はじめまして。ヴィジェ・ルブラン展を楽しむ前にこの本を購入して予備知識を仕入れようかと思っていたのですが・・・
そんなに酷いのですか。
何だか表紙の絵もイマイチですね。数ある絵画の中から、何故これを表紙に選んだのかしら?と思います。
そんなに酷いのですか。
何だか表紙の絵もイマイチですね。数ある絵画の中から、何故これを表紙に選んだのかしら?と思います。
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timeturner at 2011-04-08 20:24
滝夜叉さん、はじめまして。
酷いのは文章で、資料そのものは間違いないと思いますので、絵を御覧になる前に読めば、鑑賞がより楽しくなると思います。実際、本を読んでいて「ああ、あの絵にはこういう背景があったのか。もっとしっかり見ておけばよかった」と何度も思いましたから。
表紙があの絵なのは作者がロンドンのナショナルギャラリーで初めてあの絵と出会ったときに「なんと美しい人だろう!」とその場に立ちすくみ、「いつかこの画家のことを調べてみよう」と思って絵葉書を買い求め、大切にしてきたからではないかと思われます。
酷いのは文章で、資料そのものは間違いないと思いますので、絵を御覧になる前に読めば、鑑賞がより楽しくなると思います。実際、本を読んでいて「ああ、あの絵にはこういう背景があったのか。もっとしっかり見ておけばよかった」と何度も思いましたから。
表紙があの絵なのは作者がロンドンのナショナルギャラリーで初めてあの絵と出会ったときに「なんと美しい人だろう!」とその場に立ちすくみ、「いつかこの画家のことを調べてみよう」と思って絵葉書を買い求め、大切にしてきたからではないかと思われます。
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滝夜叉
at 2011-04-08 21:43
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わかりました^^ありがとうございます。
作者の日本語の文章の言わんとする事を推測しながら読めばいいのかもしれませんね。
表紙の絵も、そのようなエピソードがあったのですね。
絵画を観る時に予備知識を入れるべきか、まっさらで何の偏見も無く自分の感性に従って観るべきか、いつも悩んでしまいます(笑)
これからもブログ楽しみにしています。
どうぞ、宜しくお願いします。
作者の日本語の文章の言わんとする事を推測しながら読めばいいのかもしれませんね。
表紙の絵も、そのようなエピソードがあったのですね。
絵画を観る時に予備知識を入れるべきか、まっさらで何の偏見も無く自分の感性に従って観るべきか、いつも悩んでしまいます(笑)
これからもブログ楽しみにしています。
どうぞ、宜しくお願いします。