2011年 01月 15日
翻訳家の仕事 |
《古今東西さまざまな言語の翻訳にたずさわる当代きっての名訳者三七人が明らかにする、苦悩と、苦心と、よろこびのとき。翻訳という営みに関心をもつすべての読者に贈る、読みどころ満載の翻訳エッセイの決定版。》
というキャッチコピーの本を読んでみました。中には「翻訳家」と呼んでしまっていいのかと思うような(たとえば『古今集』の現代語版を出した人とか)人もいますが、いずれも原文とは違う「言葉」に置き換える作業をしている(した)という共通項で選ばれています。
どうしても知っている名前には敏感に反応して、より興味を持って読んでしまうというのもありますが、エッセイとは言ってもかなり学術的な解説をしている人、自分が訳した文章を自慢げに羅列する人、自分の生い立ちやキャリアを書き並べただけの人、などなどははっきり言って面白くないので飛ばし読みしてしまいました。
ものすごく乱暴な言い方だけど、飛ばし読みしてしまった方々の訳書は、おそらく私が読んでも理解できないか面白く感じないかのどちらかだろうな、という気がしました。逆にこれまで知らなかった翻訳家でも、興味を惹かれるような内容のエッセイだと次はこの人の訳書を読んでみようか、という気になります。訳にも相性ってありますものね。
翻訳家は原文に縛られた奴隷であり、訳者の仕事は原文の意味と調子をとことんまで見極めることだ、と書く沼野充義さんは、その後で「見極めた後にはおそろしいほどの自由が広がる。『ここまで読み切った以上、それをどう訳すか、日本語でどう表現するかは、訳者の勝手だ!』という夢のような瞬間」がごくたまに訪れると言っていますが、それこそ翻訳の醍醐味なんだろうなあ。
翻訳家の仕事 (岩波新書)
編者:岩波書店編集部
執筆者:鼓 直、富士川義之、木村榮一、小田島雄志、若島 正、沼野充義、池内 紀、亀山郁夫、藤井省三、アレッサンドロ・G・ジェレヴィーニ、柴田元幸、三浦佑之、鴻巣友季子、中条省平、宮下志朗、青山 南、須永朝彦、岸本佐知子、中務哲郎、和田忠彦、高見 浩、野谷文昭、西 成彦、越川芳明、米川良夫、西永良成、松永美穂、丘沢静也、リービ英雄、多和田葉子、管 啓次郎、伊藤比呂美、野崎 歓、旦 敬介、金原瑞人、アルフレッド・バーンバウム、鈴木道彦
出版社:岩波新書
ISBN:4004310571
というキャッチコピーの本を読んでみました。中には「翻訳家」と呼んでしまっていいのかと思うような(たとえば『古今集』の現代語版を出した人とか)人もいますが、いずれも原文とは違う「言葉」に置き換える作業をしている(した)という共通項で選ばれています。
どうしても知っている名前には敏感に反応して、より興味を持って読んでしまうというのもありますが、エッセイとは言ってもかなり学術的な解説をしている人、自分が訳した文章を自慢げに羅列する人、自分の生い立ちやキャリアを書き並べただけの人、などなどははっきり言って面白くないので飛ばし読みしてしまいました。
ものすごく乱暴な言い方だけど、飛ばし読みしてしまった方々の訳書は、おそらく私が読んでも理解できないか面白く感じないかのどちらかだろうな、という気がしました。逆にこれまで知らなかった翻訳家でも、興味を惹かれるような内容のエッセイだと次はこの人の訳書を読んでみようか、という気になります。訳にも相性ってありますものね。
翻訳家は原文に縛られた奴隷であり、訳者の仕事は原文の意味と調子をとことんまで見極めることだ、と書く沼野充義さんは、その後で「見極めた後にはおそろしいほどの自由が広がる。『ここまで読み切った以上、それをどう訳すか、日本語でどう表現するかは、訳者の勝手だ!』という夢のような瞬間」がごくたまに訪れると言っていますが、それこそ翻訳の醍醐味なんだろうなあ。
翻訳家の仕事 (岩波新書)
編者:岩波書店編集部
執筆者:鼓 直、富士川義之、木村榮一、小田島雄志、若島 正、沼野充義、池内 紀、亀山郁夫、藤井省三、アレッサンドロ・G・ジェレヴィーニ、柴田元幸、三浦佑之、鴻巣友季子、中条省平、宮下志朗、青山 南、須永朝彦、岸本佐知子、中務哲郎、和田忠彦、高見 浩、野谷文昭、西 成彦、越川芳明、米川良夫、西永良成、松永美穂、丘沢静也、リービ英雄、多和田葉子、管 啓次郎、伊藤比呂美、野崎 歓、旦 敬介、金原瑞人、アルフレッド・バーンバウム、鈴木道彦
出版社:岩波新書
ISBN:4004310571
by timeturner
| 2011-01-15 22:15
| 和書
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