2010年 09月 22日
シャーロック・ホームズの思い出 |
ホームズが探偵を職業とする転機となった「グロリア・スコット号」や職業探偵として初めて手がけた「マスグレーヴ家の儀式」など全10編。収録作品は以下の通り。
本国ではストランド誌に1892年12月号から翌年12月号まで掲載された12編から「ボール函」を除いた11編が収録され、この翻訳本では紙数の都合でさらに「The Reigate Squires」が割愛されています。「ボール函」は『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』に収録されているので、「The Reigate Squires」だけインターネットで読みました(タイトルはThe Reigate Puzzleになっていますが理由はわかりません)。
この中で特に有名なのは「最後の事件」で、ここでドイルはホームズをモリアーティ教授との戦いの中で殺してしまい、全世界のホームズファンは悲しみと憤りで大騒ぎになりました。結局、あまりにホームズ復活を望む声が大きかったためにドイルは「空家の冒険」で彼を甦らせるんですが、この短編集を読んでいるとドイルがホームズを殺したくなった気持ちもわかるような気がします。
トリックも平凡だし動機も貧弱、読み終わったときの満足感がまるで得られない作品が多い。もちろんホームズが探偵を職業とし始めた頃の話や、彼の兄マイクロフトの登場など興味深い面も多々あるんですが、それはどちらかというとシャーロッキアンにとっておいしい話であって、純粋に探偵小説を楽しみたいという読者には不満が残るんですね。おそらく作者がのれずに書いていたからなんだろうなあ。
「最後の事件」でホームズを殺したことがいいか悪いかはわかりませんが、この1編が探偵小説としてはすごく手抜きなのは明らか。とにかくもう決められた字数ですべて終わらしてしまおうという意図のもとに書かれているので謎ときも何もありません。毎月楽しみにホームズ物を読んできた読者たちがこれを読んで怒ったというのもわかる気がします。でもまあ、帰還してからのホームズ物がずっと面白くなっているのでよしとしよう。⇒なんてえらそうな(^^;)
原題:The Memoirs of Sherlock Holmes
作者:コナン・ドイル
訳者:延原 謙
出版社:新潮社
ISBN:4102134034
白銀号事件
黄色い顔
株式仲買店員
グロリア・スコット号
マスグレーヴ家の儀式
背の曲った男
入院患者
ギリシャ語通訳
海軍条約文書事件
最後の事件
本国ではストランド誌に1892年12月号から翌年12月号まで掲載された12編から「ボール函」を除いた11編が収録され、この翻訳本では紙数の都合でさらに「The Reigate Squires」が割愛されています。「ボール函」は『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』に収録されているので、「The Reigate Squires」だけインターネットで読みました(タイトルはThe Reigate Puzzleになっていますが理由はわかりません)。
この中で特に有名なのは「最後の事件」で、ここでドイルはホームズをモリアーティ教授との戦いの中で殺してしまい、全世界のホームズファンは悲しみと憤りで大騒ぎになりました。結局、あまりにホームズ復活を望む声が大きかったためにドイルは「空家の冒険」で彼を甦らせるんですが、この短編集を読んでいるとドイルがホームズを殺したくなった気持ちもわかるような気がします。
トリックも平凡だし動機も貧弱、読み終わったときの満足感がまるで得られない作品が多い。もちろんホームズが探偵を職業とし始めた頃の話や、彼の兄マイクロフトの登場など興味深い面も多々あるんですが、それはどちらかというとシャーロッキアンにとっておいしい話であって、純粋に探偵小説を楽しみたいという読者には不満が残るんですね。おそらく作者がのれずに書いていたからなんだろうなあ。
「最後の事件」でホームズを殺したことがいいか悪いかはわかりませんが、この1編が探偵小説としてはすごく手抜きなのは明らか。とにかくもう決められた字数ですべて終わらしてしまおうという意図のもとに書かれているので謎ときも何もありません。毎月楽しみにホームズ物を読んできた読者たちがこれを読んで怒ったというのもわかる気がします。でもまあ、帰還してからのホームズ物がずっと面白くなっているのでよしとしよう。⇒なんてえらそうな(^^;)
原題:The Memoirs of Sherlock Holmes
作者:コナン・ドイル
訳者:延原 謙
出版社:新潮社
ISBN:4102134034
by timeturner
| 2010-09-22 20:46
| 和書
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