2010年 08月 12日
Year of Wonders |
1666年、英国ダービシャーの小村に疫病(ペスト)が侵入してきたとき、村人たちは驚くべき決断をした。村を隔離し、疫病が周辺の村や町に伝染しないようにするというのだ。ヒロイックで熱意あふれる牧師の指導で自分たちを閉じ込めることに同意した村人たちだったが、閉塞的な状況で家族や友人が次々と病に倒れていくうちに、それまで隠されてきたさまざまな悪が表面に浮かび上がってくる・・・。
牧師館で働く若い未亡人アンナの目を通して描かれる17世紀の田舎の暮らしは、牧歌的で美しい自然は別として偏見、迷信、弱い立場にある女性や子供たちの悲惨な状況など、読んでいてかなり腹立たしいことが多いのですが、教育のないアンナが聡明で善意あふれる牧師夫人エリナーによって次第に目を開かれ、自分自身で物事を考えられるようになっていくのがうれしくて読み続けてしまいます。
あとがきによると、実際にダービシャーのエームという村で同じことが起こったのだそうです。1年ものあいだ周囲から隔離され、次から次へと人が死んでいくというのはまさに人間を試す極限状況ですよね。作者はこの作品で小説デビューするまでは戦場ジャーナリストだったそうで、極限状態に置かれた人間が狂気に走る様子をとてもリアルに描いています。
Year of Wonders: a Novel of the Plague
邦題:灰色の季節をこえて
作者:Geraldine Brooks
出版社:Fourth Estate Ltd
ISBN:184115458X
牧師館で働く若い未亡人アンナの目を通して描かれる17世紀の田舎の暮らしは、牧歌的で美しい自然は別として偏見、迷信、弱い立場にある女性や子供たちの悲惨な状況など、読んでいてかなり腹立たしいことが多いのですが、教育のないアンナが聡明で善意あふれる牧師夫人エリナーによって次第に目を開かれ、自分自身で物事を考えられるようになっていくのがうれしくて読み続けてしまいます。
あとがきによると、実際にダービシャーのエームという村で同じことが起こったのだそうです。1年ものあいだ周囲から隔離され、次から次へと人が死んでいくというのはまさに人間を試す極限状況ですよね。作者はこの作品で小説デビューするまでは戦場ジャーナリストだったそうで、極限状態に置かれた人間が狂気に走る様子をとてもリアルに描いています。
Year of Wonders: a Novel of the Plague
邦題:灰色の季節をこえて
作者:Geraldine Brooks
出版社:Fourth Estate Ltd
ISBN:184115458X
by timeturner
| 2010-08-12 16:55
| 洋書
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