2010年 03月 31日
オックスフォード 3月31日(水) |
残り日数が少なくなってきたので霧の写真を撮ろうと早朝に起きました。着いて2日目くらいに時差ボケで早く目が覚めてしまい、中庭に降りたら白い霧がいっぱいでとても幻想的だったことがあったのですが、そのときは「毎日こんなふうなんだろうからそのうち撮ろう」なんて思ったのですよね。そしたらそれっきりお目にかかれない。というか、時差ボケが治ってきてあまり朝早く目が覚めなくなってしまった。なのでがんばってまだ暗いうちに起きました。でも寒くて部屋の中から撮ったせいか、この日の霧はいまいちだったなあ。
8時朝食、9時15分から10時半まで英会話。この日は途中からみんながイギリスの教育制度について質問したので、学齢の子どもを二人もつJennyが張り切って説明してくれました。前からよくわからないなあと思っていたのが少しすっきりした感じ。でもまだわからないけど。
興味深かったのは大学進学のための費用を助成する制度について。
大学からの助成はBursaryとScholarshipがあり、返金不要です。どちらも受けるためには条件があり、その大学に入る場合にだけ有効です。
国からの助成にはGrantとStudent Loanがあり、どこの大学に行く場合でも利用できます。Grantは両親の収入によってもらえる額が変わりますが、返金不要です。
Student Loanは家庭の収入に関係なく利用できますが、卒業後に15,000ポンド以上の年収を得るようになると15,000ポンドを超えた分の9%を返済しなくてはなりません。オックスフォードでもこのローンを利用している生徒は多く、RAのDomもそうだと言っていました。日本のように親がどんな苦労をしてでも子どもを大学にやる、という風潮がないイギリスならではと思いましたが、利用した学生は卒業と同時に約3,000ポンドの借金を抱えることになるというのが問題です。最近では就職難で、オックスフォードを出ても適当な就職先がみつからなかったりするので、返済できる状況になかなかなれない人も増えているらしい。
いずれの場合もそれだけでは足りないので学生はみんな学期と学期の間(学期中は勉強が大変なので無理)は働きます。日本でいうアルバイトよりもっと本格的で、働きたい会社に申し込み、試験を受けます。大学で働く学生も多く、事務局で働くChristineや、RAたちはその一例ですね。
カレッジに移動してお茶をいただいて11時から講義。今日も学長の私邸が講義室で講師はAndrew、テーマは「Literature in Oxford」です。最初に文学関連用語の説明。Author、Writer、Poet、Dramatist、Critic、Intellectual、Novelist、Academic、Cleric、Aetheste(Aethetics)、Artistなど。
次に「Literatureとは何か?」の定義づけ。Quality、Popularity、Universal Themeを兼ね備えDeepなものと教えられました。簡単に言えば、どの国でもどの時代でも変わらず愛読され、深い印象を残すものということでしょうか。日本だと「純文学とは何か」という問いがよくありますが、あれとはちょっと違うかな。
Hertford College出身で聖書を最初に英訳したWilliam Tyndale(彼が学んだ当時はMagdalen Collegeの一部)と詩人・聖職者のJohn Donne(当時はHart Hall)に始まり、オックスフォードとは関係ないけれど英国文学史からは絶対にはずせないシェイクスピアに触れ、それからまたオックスフォードに戻って辞書編纂者のDr. Samuel Johnson(Pembroke Collegeに1年だけ)、作家のOscar Wilde(Magdalen College)、作家のEvelyn Waugh(Hertford College)ときて、オックスフォードと映画がらみでHarry Potterシリーズについてちょっと。トールキンについても少し触れたかな。覚えていないということは、触れたとしても名前を出す程度だったのでしょう。後半はLewis Carrol(Christ Church)とアリスについてのあれこれ。学長の娘アリスのこと、Christ Churchのこと、Folly Bridgeのことなど。最後にこれまで何度も作られてきたアリス映画(ジョニー・デップ出演の最新作も)について話して終り。
ティンデールは前にも書いたように世界で初めて聖書を英訳した功績で知られる人ですが、初めのうちそれのどこがそんなにすごいのかと思いました。でも説明されてみれば、それまでは聖職者や王侯貴族などラテン語やヘブライ語の知識を身につけた人しか読めなかった聖書を、一般庶民(といっても英語が読み書きできるだけの教育を受けた人に限りますが)が自分たちの目で読むことができるようにしたわけで、これはやはり画期的です。パワーポイントの彼の肖像の横に(1494-1536)とあったのを指してAndrewが「当時の人にしても短命ですね。きっと勉強しすぎたのでしょう」と言って笑いをとっていましたが、これはいただけなかったなあ。彼はカトリックだったのでヘンリー八世による宗教改革でベルギーに逃れ、そこで捕われて裁判にかけられた結果「異端者」として処刑された(柱に縛られた状態で首を絞められ、その後焼かれた)んですよね。処刑の際に「Lord, open the King of England's eyes(主よ、王の目を開かしめたまえ」)と叫んだという言い伝えがあります。知らなかったのか、知っていてあえて言わなかったのかわかりませんが、真面目に聞いている生徒にとっては不親切だったと思う。
詩はよくわからないので「ふ~ん」としか思っていなかったジョン・ダンが思いのほか興味深い人でした。若い頃は放蕩の限りを尽くし、当時としてはかなり赤裸々な詩を数々書いたのですが、結婚とともに放蕩はぴたりと止み、聖職の道に入り、後半生は偉大な説教師として学問と宗教に身を捧げます。彼の内面でどんな変化があったのかもっと詳しく知りたいと思わされました。
イーヴリン・ウォーは自宅予習していった『ブライヅヘッドふたたび』と「情愛と友情」の話があり、彼がインタビューで「大学時代に何かスポーツはしていたのですか?」と聞かれて「I drank for Hertford」と答えたという逸話が紹介されました。
『不思議の国のアリス』の登場人物の挿絵で、ドードー鳥はキャロル自身、チェシャ猫はオックスフォードのそこらじゅうにあるガーゴイル、首が伸びてしまったアリスの姿はChrist Churchのグレート・ホールにある暖炉の飾りからインスパイアされたという話がありました。そういえば前回来た時、Christ Churchでアリスのステンドグラスのほかにこの暖炉も見た記憶があります。
Folly BridgeはGCの手前にある石橋で、ここのSalter Brothers Co.という貸しボート屋でキャロルがボートを借り、アリスたちとテムズ川をいきながらお話をしてあげたという話は有名です。ジェローム・K・ジェロームの『ボートの三人男』たちもおそらくこのあたりでボートを降り、オックスフォードで楽しい2日間を過ごしたはず。トールキンもインクリングスの仲間たちと舟遊びをしたりしたのかなあ。『指輪物語』の中にも船を漕ぐシーンがたくさんありましたよね。
12時30分からランチで、このときに午後のBodleian Library見学は一般客と一緒のツアーで行くので人数制限があり、クジで14時からのグループと15時からのグループの二つに分けられました。クジ運の悪い私は当然(?)遅いほうの組。10分前にロッジ集合なのでそれまで1時間半ほど時間があります。
どうしようかなあと思いながらBroad StreetからMagdalen Streetにぶつかったところで、そうだJericho地区のほうに行ってみようと思い立ちました。若者好みの場所として学生に人気だそうです。前に来たとき、あのあたりのレストランに行ったことはありますが、暗かったのでよく見ていない。
Magdalen StreetからSt. Gilesに道路の名前が変わるにつれ、観光客向きの雰囲気から自然食品の店やカジュアルなカフェなど学生街の雰囲気になっていきます。Oxfamの本屋があったので入ってみました。街の住人と観光客でいっぱい。ここでもまた本を買ってしまいました。上にも書いたJerome K. Jeromeの『Three Men In A Boat』と『Number Ten』『女王様と私』のSue Townsendの代表作エイドリアン・モール・シリーズの青年期を描いた『Adrian Mole: The Wilderness Years』。どちらも1.49ポンドです。
途中で左に曲がり、小洒落たレストランや古着屋さん、雑貨屋さんが並ぶ学生に人気のLittle Clarendon Streetを行きます。Walton Streetを右に折れると右側がSommerville College、左側がJericho地区です。オックスフォードの辞書で有名な出版社Oxford University Pressの宮殿のように立派な建物が目立ちます。
その向かいにあるギリシャ神殿風の建物は元は何だったんでしょう。今では1階がカフェになっています。覗いてみるとだだっぴろいフロアにビニールのテーブルクロスをかけたテーブルと簡易な椅子が並べてあるだけの学食風。アフタヌーンティーなど望めそうもないので入るのやめました。
Walton Streetをしばらく行くと住宅街になってくるのでそろそろ戻らなくてはと右に折れてObservation Streetに入ります。この通りが面白くて、右側はパステルカラーに塗られた家がずらっと並んでいるのに、その向かい側にあたる左側の家はすべてレンガ作りの茶色い家々です。統一がとれていると言えないこともないけど、どうして右も左も同じに統一しなかったのか謎。平日の昼間で人通りも少ないので、なんだか映画のセットを歩いているようでした。
Woodstock Streetに出る手前あたりに、古い建物をそのまま使っているのか、あるいはそう見えるように建てたのかわからないけれど、前庭のある素敵な集合住宅があり、マンションでもこんなのだったら住みたいなあと思いました。でもきっと高いのよね。
Woodstock StreetからSt. Gilesに入り、トールキンが常連だったパブEagle and Childの前を通ってMagdalen Streetへ。Broad Streetの真ん中にあるMyrty's Place(Broad Streetの真ん中あたりにある十字のタイル。この近くでカトリックの司教Hugh Latimer、Nicholas Ridley、Thomas Clamerが1555年と1556年に焼き殺された)を見て、Sheldonian Theatreの写真を撮ってからカレッジに。
まだ15分くらい余裕があったので傘をさして中庭の芝生をぼーっと見ていたら、海外プログラム事務局の責任者の女性が通りかかり、オフィスに通してくれてお茶をいただきました。海外からの来訪者を受け入れている部署なので、部屋の中も廊下も記念写真でいっぱい。日本からは早稲田以外にも明治や青山学院などのグループが来ているようです。中国のグループもたくさんありました。北京オリンピックの前には急遽英語の特訓のために送り込まれたグループもあったそうです。
やっと時間が来てBodleian Libraryへ。私たちのグループのほかに日本人の若者が4人とイギリス人の中年女性(アビンドンからと言ってた)がひとりで、女性ガイドが付きました。
私たちが参加したのは1時間のStandard Tourで、Divinity School、Convocation House and Court、Duke Humfrey's Medieval Libraryといったところを見学します。2階のライブラリーは写真撮影禁止で、階段を上がる前にカメラや大きなバッグなどは箱に入れて鍵をかけ、ガイドがその鍵を持つようになっています。かなり厳しい。2階は図書館利用者がいるので私語も禁止、階段も片側を空けて1列で上り下りするようにと注意事項だらけです。仕方のないことではありますが、なんだか先生に叱られている小学生のような気分になりました。
説明はけっこう多岐に渡っていて、建築のディテールの説明もゴシップ記事風(途中でお金が足りなくなったために窓の形が微妙に違うとか、寄付をした人の家紋を天井につける条件でお金を集めたとか)で面白かったです。
Bodleian Libraryでは映画の撮影もたくさん行われていて、有名なのはハリー・ポッターシリーズ(Divinity Schoolが保健室として、Duke Humfrey's Medieval Libraryがホグワーツの図書館として)ですが、ほかにも「ヒストリーボーイズ」や「ライラの冒険 黄金の羅針盤」で使われています。
あとから図書館のサイトを見て知ったのですが、土日には1時間半のExtended Tourがあり、これだと地下の書庫の間を通るトンネル通路も見せてもらえるんですって。しかも図書館の改装のために今年いっぱいで終了。うー、失敗した。これから行く方はぜひどうぞ。予約もできるそうですよ。
ツアーのあと夕食までの時間があったので図書館内にあるギャラリーで「Crossing Borders: Hebrew Manuscripts as a Meeting-place of Cultures」という展示を観ました。書物がすべて手書きだった時代のヘブライ語で書かれた本(主に聖書)の展示なのですが、余白に描かれた絵がそれはもう豪華絢爛で、うっとり見とれてしまいます。かなりコミカルに描かれた動物もあって、書かれている内容が読めなくても充分楽しめます。このギャラリーは前回来たときにも入ったのですが、展示物がかなり特殊なせいか見物客が少なくのんびりできます。狭いので展示数は少ないのですが、ひとつずつじっくり見て楽しめる内容のものをテーマにしているので物足りなくはないんですよね。よく考えてあります。
雨だけでなく風も強くて傘をさしてもおちょこになってしまう状態だったので、それ以上の見学はあきらめてGCに戻り、夕食まで明日のプレゼンの用意。この日の夕食のメインはダックの煮込みで、これがとてもおいしかった。GCで食べた中ではいちばんの味でした。ダックは他の肉に比べると高いらしく、食堂のスタッフがそろそろ終盤を迎える私たちのためにがんばってくれたようです。
夕食後のアクティヴィティはゲームでした。私は途中から単語当てクイズだけ参加しました。3人1組になって1人に単語が書かれた紙が何枚か与えられます。たとえばTokyoだったら「Capital of Japan」というようなヒントを出して残り2人がそれを当てるというもので、時間内(2分くらい)にいくつ答えられるかを競います。RAと生徒が組んだので、生徒同士よりもRA同士が競争心を燃え上がらせて(みんな優等生だけに負けず嫌い)かなり盛り上がりました。
ゲームのあとは部屋に戻り、また明日のプレゼンの用意。原稿を見ずに話せるようにひたすら繰り返して暗記です。こんなに必死になったのひさしぶりかも。
興味深かったのは大学進学のための費用を助成する制度について。
大学からの助成はBursaryとScholarshipがあり、返金不要です。どちらも受けるためには条件があり、その大学に入る場合にだけ有効です。
国からの助成にはGrantとStudent Loanがあり、どこの大学に行く場合でも利用できます。Grantは両親の収入によってもらえる額が変わりますが、返金不要です。
Student Loanは家庭の収入に関係なく利用できますが、卒業後に15,000ポンド以上の年収を得るようになると15,000ポンドを超えた分の9%を返済しなくてはなりません。オックスフォードでもこのローンを利用している生徒は多く、RAのDomもそうだと言っていました。日本のように親がどんな苦労をしてでも子どもを大学にやる、という風潮がないイギリスならではと思いましたが、利用した学生は卒業と同時に約3,000ポンドの借金を抱えることになるというのが問題です。最近では就職難で、オックスフォードを出ても適当な就職先がみつからなかったりするので、返済できる状況になかなかなれない人も増えているらしい。
いずれの場合もそれだけでは足りないので学生はみんな学期と学期の間(学期中は勉強が大変なので無理)は働きます。日本でいうアルバイトよりもっと本格的で、働きたい会社に申し込み、試験を受けます。大学で働く学生も多く、事務局で働くChristineや、RAたちはその一例ですね。
カレッジに移動してお茶をいただいて11時から講義。今日も学長の私邸が講義室で講師はAndrew、テーマは「Literature in Oxford」です。最初に文学関連用語の説明。Author、Writer、Poet、Dramatist、Critic、Intellectual、Novelist、Academic、Cleric、Aetheste(Aethetics)、Artistなど。
次に「Literatureとは何か?」の定義づけ。Quality、Popularity、Universal Themeを兼ね備えDeepなものと教えられました。簡単に言えば、どの国でもどの時代でも変わらず愛読され、深い印象を残すものということでしょうか。日本だと「純文学とは何か」という問いがよくありますが、あれとはちょっと違うかな。
Hertford College出身で聖書を最初に英訳したWilliam Tyndale(彼が学んだ当時はMagdalen Collegeの一部)と詩人・聖職者のJohn Donne(当時はHart Hall)に始まり、オックスフォードとは関係ないけれど英国文学史からは絶対にはずせないシェイクスピアに触れ、それからまたオックスフォードに戻って辞書編纂者のDr. Samuel Johnson(Pembroke Collegeに1年だけ)、作家のOscar Wilde(Magdalen College)、作家のEvelyn Waugh(Hertford College)ときて、オックスフォードと映画がらみでHarry Potterシリーズについてちょっと。トールキンについても少し触れたかな。覚えていないということは、触れたとしても名前を出す程度だったのでしょう。後半はLewis Carrol(Christ Church)とアリスについてのあれこれ。学長の娘アリスのこと、Christ Churchのこと、Folly Bridgeのことなど。最後にこれまで何度も作られてきたアリス映画(ジョニー・デップ出演の最新作も)について話して終り。
ティンデールは前にも書いたように世界で初めて聖書を英訳した功績で知られる人ですが、初めのうちそれのどこがそんなにすごいのかと思いました。でも説明されてみれば、それまでは聖職者や王侯貴族などラテン語やヘブライ語の知識を身につけた人しか読めなかった聖書を、一般庶民(といっても英語が読み書きできるだけの教育を受けた人に限りますが)が自分たちの目で読むことができるようにしたわけで、これはやはり画期的です。パワーポイントの彼の肖像の横に(1494-1536)とあったのを指してAndrewが「当時の人にしても短命ですね。きっと勉強しすぎたのでしょう」と言って笑いをとっていましたが、これはいただけなかったなあ。彼はカトリックだったのでヘンリー八世による宗教改革でベルギーに逃れ、そこで捕われて裁判にかけられた結果「異端者」として処刑された(柱に縛られた状態で首を絞められ、その後焼かれた)んですよね。処刑の際に「Lord, open the King of England's eyes(主よ、王の目を開かしめたまえ」)と叫んだという言い伝えがあります。知らなかったのか、知っていてあえて言わなかったのかわかりませんが、真面目に聞いている生徒にとっては不親切だったと思う。
詩はよくわからないので「ふ~ん」としか思っていなかったジョン・ダンが思いのほか興味深い人でした。若い頃は放蕩の限りを尽くし、当時としてはかなり赤裸々な詩を数々書いたのですが、結婚とともに放蕩はぴたりと止み、聖職の道に入り、後半生は偉大な説教師として学問と宗教に身を捧げます。彼の内面でどんな変化があったのかもっと詳しく知りたいと思わされました。
イーヴリン・ウォーは自宅予習していった『ブライヅヘッドふたたび』と「情愛と友情」の話があり、彼がインタビューで「大学時代に何かスポーツはしていたのですか?」と聞かれて「I drank for Hertford」と答えたという逸話が紹介されました。
『不思議の国のアリス』の登場人物の挿絵で、ドードー鳥はキャロル自身、チェシャ猫はオックスフォードのそこらじゅうにあるガーゴイル、首が伸びてしまったアリスの姿はChrist Churchのグレート・ホールにある暖炉の飾りからインスパイアされたという話がありました。そういえば前回来た時、Christ Churchでアリスのステンドグラスのほかにこの暖炉も見た記憶があります。
Folly BridgeはGCの手前にある石橋で、ここのSalter Brothers Co.という貸しボート屋でキャロルがボートを借り、アリスたちとテムズ川をいきながらお話をしてあげたという話は有名です。ジェローム・K・ジェロームの『ボートの三人男』たちもおそらくこのあたりでボートを降り、オックスフォードで楽しい2日間を過ごしたはず。トールキンもインクリングスの仲間たちと舟遊びをしたりしたのかなあ。『指輪物語』の中にも船を漕ぐシーンがたくさんありましたよね。
どうしようかなあと思いながらBroad StreetからMagdalen Streetにぶつかったところで、そうだJericho地区のほうに行ってみようと思い立ちました。若者好みの場所として学生に人気だそうです。前に来たとき、あのあたりのレストランに行ったことはありますが、暗かったのでよく見ていない。
Magdalen StreetからSt. Gilesに道路の名前が変わるにつれ、観光客向きの雰囲気から自然食品の店やカジュアルなカフェなど学生街の雰囲気になっていきます。Oxfamの本屋があったので入ってみました。街の住人と観光客でいっぱい。ここでもまた本を買ってしまいました。上にも書いたJerome K. Jeromeの『Three Men In A Boat』と『Number Ten』『女王様と私』のSue Townsendの代表作エイドリアン・モール・シリーズの青年期を描いた『Adrian Mole: The Wilderness Years』。どちらも1.49ポンドです。
途中で左に曲がり、小洒落たレストランや古着屋さん、雑貨屋さんが並ぶ学生に人気のLittle Clarendon Streetを行きます。Walton Streetを右に折れると右側がSommerville College、左側がJericho地区です。オックスフォードの辞書で有名な出版社Oxford University Pressの宮殿のように立派な建物が目立ちます。
Woodstock StreetからSt. Gilesに入り、トールキンが常連だったパブEagle and Childの前を通ってMagdalen Streetへ。Broad Streetの真ん中にあるMyrty's Place(Broad Streetの真ん中あたりにある十字のタイル。この近くでカトリックの司教Hugh Latimer、Nicholas Ridley、Thomas Clamerが1555年と1556年に焼き殺された)を見て、Sheldonian Theatreの写真を撮ってからカレッジに。
やっと時間が来てBodleian Libraryへ。私たちのグループのほかに日本人の若者が4人とイギリス人の中年女性(アビンドンからと言ってた)がひとりで、女性ガイドが付きました。
説明はけっこう多岐に渡っていて、建築のディテールの説明もゴシップ記事風(途中でお金が足りなくなったために窓の形が微妙に違うとか、寄付をした人の家紋を天井につける条件でお金を集めたとか)で面白かったです。
Bodleian Libraryでは映画の撮影もたくさん行われていて、有名なのはハリー・ポッターシリーズ(Divinity Schoolが保健室として、Duke Humfrey's Medieval Libraryがホグワーツの図書館として)ですが、ほかにも「ヒストリーボーイズ」や「ライラの冒険 黄金の羅針盤」で使われています。
あとから図書館のサイトを見て知ったのですが、土日には1時間半のExtended Tourがあり、これだと地下の書庫の間を通るトンネル通路も見せてもらえるんですって。しかも図書館の改装のために今年いっぱいで終了。うー、失敗した。これから行く方はぜひどうぞ。予約もできるそうですよ。
ツアーのあと夕食までの時間があったので図書館内にあるギャラリーで「Crossing Borders: Hebrew Manuscripts as a Meeting-place of Cultures」という展示を観ました。書物がすべて手書きだった時代のヘブライ語で書かれた本(主に聖書)の展示なのですが、余白に描かれた絵がそれはもう豪華絢爛で、うっとり見とれてしまいます。かなりコミカルに描かれた動物もあって、書かれている内容が読めなくても充分楽しめます。このギャラリーは前回来たときにも入ったのですが、展示物がかなり特殊なせいか見物客が少なくのんびりできます。狭いので展示数は少ないのですが、ひとつずつじっくり見て楽しめる内容のものをテーマにしているので物足りなくはないんですよね。よく考えてあります。
雨だけでなく風も強くて傘をさしてもおちょこになってしまう状態だったので、それ以上の見学はあきらめてGCに戻り、夕食まで明日のプレゼンの用意。この日の夕食のメインはダックの煮込みで、これがとてもおいしかった。GCで食べた中ではいちばんの味でした。ダックは他の肉に比べると高いらしく、食堂のスタッフがそろそろ終盤を迎える私たちのためにがんばってくれたようです。
夕食後のアクティヴィティはゲームでした。私は途中から単語当てクイズだけ参加しました。3人1組になって1人に単語が書かれた紙が何枚か与えられます。たとえばTokyoだったら「Capital of Japan」というようなヒントを出して残り2人がそれを当てるというもので、時間内(2分くらい)にいくつ答えられるかを競います。RAと生徒が組んだので、生徒同士よりもRA同士が競争心を燃え上がらせて(みんな優等生だけに負けず嫌い)かなり盛り上がりました。
ゲームのあとは部屋に戻り、また明日のプレゼンの用意。原稿を見ずに話せるようにひたすら繰り返して暗記です。こんなに必死になったのひさしぶりかも。
by timeturner
| 2010-03-31 22:50
| 旅行
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