Waiting for Godot |
写真を撮っていて気づいたのですが、劇場入口右側部分の壁から出ている看板にOscar Wilde Roomとあります。
なんだろう、オスカー・ワイルドがこの劇場と何か関係があったのかしら?と思っていたのですが、プログラムや劇場のサイトを見る限りでは単なる会員制クラブみたいなものらしい。詳しいことは書いていないので想像ですが、(かなりの額の)年会費を払うと各公演のよい席が確保でき、無料のバーがあるこの部屋を使えるようになるんじゃないでしょうか。まあ庶民には関係なさそうですね。
「写真を撮らないでください」というアナウンスは特になかったので、始まる前のステージと劇場内部の写真を撮ってみましたが、暗い中フラッシュを使わなかったのでひどい出来です。劇場が豪華すぎてベケットの芝居のセットにはちょっとそぐわない感じがわかりますか?
『ゴドーを待ちながら』は読んだことがあるのですが、舞台を見るのは初めてでした。読んだのも40年くらい前ですから細かいところはほとんど忘れていた。不条理演劇だからわからなくても当たり前、と予習しなかったのが間違い。セリフが聞き取れなくてまいりました。
帰国してから図書館で本を借りて読んだ印象ではセリフも展開もほとんど変えていなかったと思うのですが、1ヶ所、イアンがHomosexualがどうたらこうたらと言って笑いをとった部分はおそらくアドリブでしょう。ちょうどこの時期、アイルランドの司祭が子供に性的虐待をしていたことを教会が隠匿していたというスキャンダルが明るみに出て、TVでも新聞でもさかんに取り上げられていましたので、そのあたりのことを挟んだのかもしれません。
イアンが演じたエストラゴンは子供っぽくてわがままなキャラクターなんですが、彼が演じるとそれがとても可愛くて憎めなくてGood Job!でした。ヴラジミールのほうはもう少し理屈っぽい気難し屋というイメージだったのでロジャー・リースのヴラジミールはいい人すぎてちょっとつまらなかった。おそらくパトリック・スチュワートのほうが適役だったと思う。残念。
邦題:ゴドーを待ちながら
原作:Samuel Beckett
演出:Sean Mathias
出演:Ian McKellen、Roger Rees、Ronald Pickup、Matthew Kellyほか。
会場:The Theatre Royal Haymarket
帰国してからプログラムをじっくり見ていて笑ったのは、衣装や小道具を借りたところなどの名前を並べているセクションの最後にWhip Tuitionというのがあったこと。なるほど確かにむやみやたらに鞭を振り回したら危ないですもんね。なんにでも専門家がいるもんですねえ。しかしこのAlexander Jacobという先生のサイトがwww.cobrawhips.comというのはちょっと誤解を招きそう(^^;)。
The Theatre Royal HaymarketへのDonorsとして名前が挙げられているのはSir、Countess、Dameなどがついた人たちが多いんですが、Mr. & Mrs. Frederick Forsythの名前もありました。PatronsにはDame Judi Denchの名前も。
※あとから知ったのですが、この絵を描いたのはニュージーランド人の画家Nick Cuthellで、イアンの恋人。ふたりはLOTRの撮影中にウェリントンで出会ったのだそうです。
ところで、ロンドンはいまだに携帯過渡期のようで、電車やバスの中で平気で話している人が普通なんですが、今回の劇場ではお芝居が始まる合図の代わりに携帯の呼び出し音をしばらく流していました。「他のお客様へのご迷惑・・・」といったアナウンスは一切なしで携帯の音だけ30秒ほど流して、そのままお芝居が始まりました。それでも上演中に携帯が鳴ることはありませんでした。あれでいいのよね。大人だったらわかって自分の携帯の電源を切るんだから。ちょっと新鮮な経験でした。