2009年 12月 13日
回想のブルームズベリー―すぐれた先輩たちの肖像 |
ヴァージニア・ウルフの甥にあたる著者が、イギリスで1905年から第二次世界大戦期まで存在した芸術家や学者の集まり、ブルームズベリー・グループの主要メンバーたちそれぞれについて、内側から見てきた人物の立場で綴った回想録。
グループの中心にいた伯母のヴァージニア・ウルフや母親のヴァネッサ・ベルのほか、経済学者ジョン・メイナード・ケインズ、伝記作家リットン・ストレイチー、画家のロジャー・フライ、作家のデイヴィッド・ガーネット、E・M・フォースターほかが取り上げられています。書かれたのが著者の晩年であることと、個人的な関係の深い人々についてであることで、かなりぼやけた印象の書き方になっていて、それぞれの人物を深く掘り下げて知りたいという人には失望する内容になりそうですが、ブルームズベリー・グループをよく知らない私には、表面的に全体像をつかめて便利だったかも。途中かなり退屈な部分は読み飛ばしたことは内緒です。
それにしても今年初めに読んで感激した『Howards End』の舞台はここにあったのですねえ! イギリス文学を知る人からは無知と笑われるでしょうが、ヴァネッサとヴァージニアのスティーヴン姉妹の描写はまさにあの小説のシュリーゲル姉妹のようでちょっと感激してしまいました。そして先日読んだ『遙かなる道のり-イギリスの女たち 1830-1910』の「家庭の天使」と「新しい女」の対立が『Howards End』の主題なんですよね。年をとればとるほど自分の無知に気づかされるというのは、実にびっくりするほど情けないとともにうれしいことでもありますね。
ところで最後にとりあげられているアンソニー・ブラントは、ガイ・バージェスやキム・フィルビー、ドナルド・マクリーンとともに「ケンブリッジ4人組」と呼ばれたソ連のスパイのひとりです。著者は兄ジュリアンの友人としてアンソニーと知り合い、その関連でガイ・バージェスとも知り合います。アンソニーもガイも同性愛者で、ジュリアンを引き入れようとするが成功せず、のちにジュリアンはスペイン内乱で共和国側で戦って戦死します。
映画「アナザー・カントリー」はガイ・バージェス(ルパート・エヴァレットが演じた)を主人公にした作品でしたが、舞台はケンブリッジに進学する前、イートン校時代。なのでアンソニー・ブラントらは出てきません。でも、コリン・ファースが演じた親友のジャドはのちにスペイン内乱で死んだことやガイとの関係など、もしかしたらジュリアン・ベルがモデルになってる?などと考えてしまいました。で、アンソニー・ブラントで検索していたら「Cambridge Spies」というBBCドラマをみつけてしまい、思わずDVDを英アマゾンでポチッ。なんか私、せっかく得た知識をミーハーな方面に広げてるような(^^;)。
原題:Elders and Betters
作者:クウェンティン・ベル
訳者:北條文緒
出版社:みすず書房
ISBN:4622046334
グループの中心にいた伯母のヴァージニア・ウルフや母親のヴァネッサ・ベルのほか、経済学者ジョン・メイナード・ケインズ、伝記作家リットン・ストレイチー、画家のロジャー・フライ、作家のデイヴィッド・ガーネット、E・M・フォースターほかが取り上げられています。書かれたのが著者の晩年であることと、個人的な関係の深い人々についてであることで、かなりぼやけた印象の書き方になっていて、それぞれの人物を深く掘り下げて知りたいという人には失望する内容になりそうですが、ブルームズベリー・グループをよく知らない私には、表面的に全体像をつかめて便利だったかも。途中かなり退屈な部分は読み飛ばしたことは内緒です。
それにしても今年初めに読んで感激した『Howards End』の舞台はここにあったのですねえ! イギリス文学を知る人からは無知と笑われるでしょうが、ヴァネッサとヴァージニアのスティーヴン姉妹の描写はまさにあの小説のシュリーゲル姉妹のようでちょっと感激してしまいました。そして先日読んだ『遙かなる道のり-イギリスの女たち 1830-1910』の「家庭の天使」と「新しい女」の対立が『Howards End』の主題なんですよね。年をとればとるほど自分の無知に気づかされるというのは、実にびっくりするほど情けないとともにうれしいことでもありますね。
ところで最後にとりあげられているアンソニー・ブラントは、ガイ・バージェスやキム・フィルビー、ドナルド・マクリーンとともに「ケンブリッジ4人組」と呼ばれたソ連のスパイのひとりです。著者は兄ジュリアンの友人としてアンソニーと知り合い、その関連でガイ・バージェスとも知り合います。アンソニーもガイも同性愛者で、ジュリアンを引き入れようとするが成功せず、のちにジュリアンはスペイン内乱で共和国側で戦って戦死します。
映画「アナザー・カントリー」はガイ・バージェス(ルパート・エヴァレットが演じた)を主人公にした作品でしたが、舞台はケンブリッジに進学する前、イートン校時代。なのでアンソニー・ブラントらは出てきません。でも、コリン・ファースが演じた親友のジャドはのちにスペイン内乱で死んだことやガイとの関係など、もしかしたらジュリアン・ベルがモデルになってる?などと考えてしまいました。で、アンソニー・ブラントで検索していたら「Cambridge Spies」というBBCドラマをみつけてしまい、思わずDVDを英アマゾンでポチッ。なんか私、せっかく得た知識をミーハーな方面に広げてるような(^^;)。
原題:Elders and Betters
作者:クウェンティン・ベル
訳者:北條文緒
出版社:みすず書房
ISBN:4622046334
by timeturner
| 2009-12-13 20:54
| 和書
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